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マイクロマシン応用対内埋込み型センサ

我が国における高齢化の進展は著しく、様々な成人病の患者もそれに伴って増加している。成人病患者のクォリティオブライフの向上と医療費の抑制のために、健康管理を在宅で行えるシステムが求められている。例えば糖尿病を考えたとき、血糖値の測定は自宅で行えるものの、必ず採血が必要であり患者の負担を強いてきた。本研究では、体内に埋め込んで常時患者の血液の状態を監視するセンサを対象として、マイクロマシン技術の応用により、センサの超小型化と経時変化防止用の能動洗浄の技術を開発している。すなわち、センシング電極と基準電極を内径0.5mmの針内に収めたセンサを開発した。更に、毛中ではセンシング電極表面にタンパタ質が付着したり、血液が凝固したりするため、センサの性能が数時間しか保てなかった問題を解決するため、超小型の超音波洗浄槽を開発し、センサ表面を常に清浄にして特性を安定させる方法を初めて実証した。この時、センシング用の白金黒電極が超音波洗浄時に剥離する問題が新たに生じたため、白金黒電極の形成時に超音波を印加しながら成長させるプロセスを考案して、高強度で緻密な白金黒を作ることにも成功した。

本研究は、高齢化社会への対応と、成人病患者の生活の質の向上という、これからの日本が直面する問題について、技術的解決を与えたもので、その社会的意義は極めて大きい。このようなセンサを用いれば、患者の動きを拘束すること無しに、常に患者の状態を把握することができるため、慢性の成人病の管理に画期的な進歩が望める。さらにこれを一歩進めれば、インシュリン等の薬剤の自動投与にも展開が期待され、体内埋込型人工臓器への道を拓く研究であると言える。

また技術的な面から考えると、マイクロマシン技術の応用により、センサの超小型化を実現しただけでなく、圧電マイクロアクチュエ一タで発生する超音波でセンサ表面を清浄に保ち、センサ性能の劣化を防ぐ点が極めて先進的である。これまで、様々の保護膜を用いてセンサ表面への血液成分の凝固を最小化する試みはあったが、このような受動的手段には限界がある。センサとアクチュエ一タを組み合わせるマイクロマシンの技術により、能動的手段による特性の安定化が初めて可能になったことに本研究の特性がある。マイクロマシンの応用分野として医療分野が早くから期待されてきたが、本研究はその期待に答えるものであり、大きな価値がある。

開発者はかねてから半導体マイクロマシニングに基づくセンサの開発を行っており、これまでもカテーテル先端に組み込んで体内の血液を直接測定できる圧カセンサなどの開発に成功しており、今回はそれを更に発展させた研究である。

電気学会は、この成果を称えて、五十嵐伊勢美氏(豊田理化学研究所)に、1997年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 五十嵐伊勢美、マイクロマシン応用体内埋込型センサ、1996年、平成8年 文部省科学研究費報告書

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キーワード

マイクロマシン、センサ
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