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小形量子放射光源の開発・実用化

近年、半導体デバイスやマイクロマシンなどの微細加工技術や新素材創製技術の進展は目覚ましく、そのプロセス光源として量子放射光源(シンクロトロン(SR)光源、自由電子レーザー(FEL))が果たした役割は大きい。しかし、それを産業用として実用化するには装置規模の大きさとコスト高が課題であり、産業用に適した小型装置の開発・実用化が強く望まれていた。

電子ビーム偏向用に超電導磁石を用いた小型SR光源の開発ならびにSR光源への電子入射を担う電子線形加速器の小形化に成功した。さらに、小形電子線形加速器を用いた業界初のFELの発振を成し遂げた。この様に量子放射光源の小形化、建設コストの低減を実現したばかりでなく、超電導SR光源の低ランニングコスト化を目指して高温超電導体を用いた2KA級の通電リードを開発し、世界で初めて適用した。冷却用液体ヘリウム(LHe)の蒸発量が従来の銅製リードに比べ約1/3に低減したことを確認した上、1993年から約3年にわたり実用安定性能を実証した。

従来のSR光源は、電子ビーム偏向用に鉄磁極の常電導磁石を使用しており、鉄の磁気飽和現象のため出力磁界は約1.5T以下に限られ、電子ビームの曲率半径が大きく装置規模の大形化が避けられなかった。開発者らは、超電導磁石の適用により装置小形化が可能であることに着目し、最大磁界強度4.0Tで偏向曲率半径0.5mの超電導磁石を開発し、ビームエネルギーが600MeVの超電導小形SR光源を完成させた。さらに、SR装置全体を小形化するため、線形加速器から直接SR光源に低エネルギー(100MeV)ビームを入射する方式を採用すると共に、加速系の耐電力性の向上を図り大幅な小形化(1/2~1/3)に成功した。一方、国内外で線形加速器を利用する新レーザーで、波長可変性を最大の特長とするFELの開発が精力的に進められているが、SR光源への入射とFELの発振を一台の小形線形加速器で実現できることを世界に先がけて実証するなど産業用小形量子放射光源の開発に対する貢献度は極めて大きい。LHeを用いる超電導小形SR光源の実用化に当たってのブレークスルーポイントは、ランニングコストの低減にある。従来の超電導磁石の通電リードは銅管であり、その良熱伝導性のため熱侵入によるLHeの蒸発が多かった。通電リードに液体窒素温度使用の高温超電導体を用いれば抵抗損をほぼ0にできるばかりでなく、外部からの大幅な熱侵入の低減が見込まれることに着眼し、2KA級の高温超電導体大電流リードの開発に取り組み、世界で初めて適用した。LHeの蒸発量低減効果(従来の1/3)を確認した。引き続き、小形SR光源に実適用し、SR利用に供しつつ約3年間にわたり長期安定性能を実証した例は世界的にも無く、画期的な成果である。

電気学会は、この成果を称えて、高田博史氏、筒井康充氏、江村勝治氏(住友電気工業㈱)に、1997年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 高田博史、筒井康充、江村勝治、冨増多喜夫、超電導小形シンクロトロン光源、1992年、平成4年11月 電気学会論文誌C

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