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過冷却窒素冷却・1000kVA級酸化物超電導変圧器の開発

500kVA 級酸化物超電導変圧器の特性試験と試験結果

図1 500kVA 級酸化物超電導変圧器の特性試験と試験結果

500kVA 級酸化物超電導変圧器のサブクール液体窒素冷却系の構成図

図2 500kVA 級酸化物超電導変圧器のサブクール液体窒素冷却系の構成図

実系統連系試験用改良型 22kV/6.9kV 酸化物超電導変圧器と試験模様

図3 実系統連系試験用改良型 22kV/6.9kV 酸化物超電導変圧器と試験模様

年々増加の一途をたどる電力需要に対して、電源の遠隔地化や地球環境の保全等の社会的制約条件の中で供給力を確保し同時に電力の質と供給信頼性の向上を図っていくことが21世紀に向けた電力事業に課せられている。この対策としては、安定限界の向上による高密度送電、限流機能を付加した送配電系統の連系、さらにはコンパクト化、省ヱネルギー化を可能とし、同時に絶縁油フリーのクリ一ン機器を実現する「超電導技術の電力系統への導入」が有力候捕である。

しかし、電力機器の大勢をしめる交流機器の金属系超電導化は、液体ヘリウム冷却が前提のため、信頼性や経済性のため疑問視されている。これに対して、液体窒素冷却が可能な酸化物超電導体の交流電力機器への応用は,金属系超電導体の欠点をほぼ一掃することができるので次世代技術として非常に期待される。電力ケーブルについてはこれまでに数10m級の試作例があるが、本格的な電力機器を対象にした開発研究は皆無の中で、今回の1000 kVA級酸化物超電導変圧器の世界に先駆けた開発は、「酸化物超電導技術の電力系統への導入」に向けての突破口としての意義をもつ。

1000 kVA級酸化物超電導変圧器の開発研究における意義をまとめると、
 1)容量800 kVAの酸化物超電導変圧器を世界で初めて実現したこと、
 2)過冷却窒素による冷却システムを導入することにより、高電圧化、メンテナンスフリー化、
  不燃化等の超電導機器のシステム化に必須の技術的課題に対して現実的な指針を提案していること、
 3)試作器のレベルで、すでに、従来からの実用器のレベルを越す効率を実現していること、
   (過冷却窒素による冷却効率まで考慮している)

となり、また、金属系超電導体のシステム設計と比べても、信頼性、経済性の面で格段の進展を実証している。このような斬新な考え方に基づく超電導機器の開発により、超電導への「実用性に乏しい高度な先端技術」という従来の考え方は大きな変更を余儀なくされると思われる。また、この実証的研究の成功は各界に強力なインパクトを与え、これを機に電力事業はもとより幅広いエネルギー分野で、超電導応用の研究が身近なターゲットとして開始されるものと期待される。

酸化物超電導体が発見されて10年が経過し、高い臨界温度による優位性が認識されて久しいが,材料的な脆さや少ない電流容量など、従来の金属系超電導材料と比べて克服すべき課題が多く、当初の期待に陰りが出始めていた状況を鑑みると、この酸化物超電導変圧器の開発はひとつのブレークスルーを達成したと思われる。

電気学会は、この成果を称えて、山藤馨氏、船木和夫氏(九州大学)、大久保堅司氏(富士電機製造㈱)、佐藤謙一氏(住友電気工業㈱)に、1997年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] H.Kanetaka, K.Funaki, K.Yamafuji et al.、Experimental evaluation of ac loss in superconducting multifilamentary wires for a.c. use exposed to a magnetic field with arbitrary angle、1995年、IEEE Trans. on Appl. Supercond., May 1995
[2] 船木和夫、超電導変圧器、1997年、電気学会誌、117巻、4号
[3] 船木和夫、岩熊成卓、柁川一弘、竹尾正勝、末廣純也、原 雅則、山藤馨、今野雅行、笠川勇介、大久保堅司、保川幸雄、能瀬眞一、上山宗譜、林和彦、佐藤謙一、液体窒素冷却500kVA級酸化物超電導変圧器の開発、1998年、低温工学、33巻、6号
[4] Kazuo Funaki et al.、Development of a 22kV/6.9kV Single-Phase Model for a 3MVA HTS Power Transformer Cooled by Liquid Nitrogen、2001年、IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, VOL. 11, NO. 1
[5] K. Funaki, M. Iwakuma, M. Takeo, K. Yamafuji, J. Suehiro, M. Hara, M. Konno, Y. Kasagawa, I. Itoh, S. Nose, M. Ueyama, K. Hayashi, K. Sato、Preliminary tests of a 500 kVA-class oxide superconducting transformer cooled by subcooled nitrogen、1997年、IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, VOL. 7, NO. 2
[6] K. Funaki, M. Iwakuma, K. Kajikawa, M. Takeo, J. Suehiro, M. Hara, K. Yamafuji, M. Konno, Y. Kasagawa, K. Okubo, Y. Yasukawa, S. Nose, M. Ueyama, K. Hayashi, K. Sato、Development of a 500 kVA-class oxide-superconducting power transformer operated at liquid-nitrogen temperature、1998年、Cryogenics, Vol. 38, No. 2

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キーワード

酸化物超電導、変圧器、サブクール液体窒素(過冷却窒素)、低交流損失、系統連系、変電、超伝導・超電導
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