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500kV交直変換用大容量サイリスタバルブの開発

8kV-3500A光サイリスタのカソードエミッタパターン

図1 8kV-3500A光サイリスタのカソードエミッタパターン

500kVサイリスタバルブ用バルブモジュール

図2 500kVサイリスタバルブ用バルブモジュール

500kVサイリスタバルブ

図3 500kVサイリスタバルブ

当時、堅調な伸びを示す電力需要と電源の遠隔化への対応として、電力会社間基幹系統の広域連系がますます強化される趨勢にあった。高電圧大容量直流送電は、その基幹系統強化の有力な手段として大いに期待されていた。

高電圧大容量直流送電実現の要となる交直変換用サイリスタバルブは、口径4インチのサイリスタ素子(6kV、2.5kA)を用いた直流250kV、300MWまでが実用化されている段階であり、一層の高電圧大容量化が必要であった。そこで、世界初の口径6インチ高電圧大容量サイリスタ素子(8kV、3.5kA)を適用した直流500kV、700MWのサイリスタバルブを開発した。これにより高電圧大容量の交直変換技術が確立できるとともに、使用するサイリスタ素子数が半減し、サイリスタバルブの大幅なコスト低減と損失低減(10%)が可能となった。さらにサイリスタバルブの高さも低減(約25%)でき、著しいコンパクト化(kW当たりの容積、約45%減)が図れるとともに、収納建屋のコスト低減が可能となった。

なお、本開発は、関西電力、四国電力、電源開発の電力3社と日立製作所、東芝、三菱電機のメーカ3社との共同研究により実施した。

今回の開発のポイントは、①サイリスタバルブの主要構成部品であるサイリスタ素子として、プロトン照射等のハイテク技術の導入によって、動作速度を落とすことなく、低損失かつ高速化が達成できることに着目し、8kV、3.5kAの高電圧大容量素子を適用し、実用化したこと、②高電圧大容量のサイリスタ素子を安定に動作させるために必要となる大容量熱冷却技術の確立ならびに動作付帯回路の大容量化を達成したこと、③高電圧大容量サイリスタ素子の適用に伴う重量増対策のために太径FRP(260φ)を絶縁支柱用として新たに開発適用し、高電圧大容量サイリスタバルブの設計、製作技術を確立して実規模プロトモデルを試作し、電気的、熱的、機械的性能の検証を行い実用性の確認を行ったことである。

これにより、高電圧大容量直流送電を技術的に、かつ経済的にも実現しうる道を切り開くとともに、高電圧大容量サイリスタ素子の安定動作技術を確立させ、パワエレ技術を電力分野に広く適用しうる道を開くに至った。

電気学会は、この成果を称えて、松野克彦氏(関西電力)、山地幸司氏(四国電力)、田中主税氏(日立製作所)、田辺茂氏(東芝)、伊吹恒二氏(三菱電機)に、1997年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] T.Hasegawa, K.Yamaji, H.Irokawa, S.Tanabe、A 500-kV HVDC Valve Using 8-kV LTT、1996年、6th International Conference on AC/DC Transmission, London
[2] S.Tanabe, T.Hasegawa, K.Yamaji, H.Irokawa、Insulation Characteristics of 500kV Water-cooled Thyristor Valve for HVDC Transmission、1997年、Transaction, IEE of Japan, Vol.117-B, No.6
[3] Y.Tanaka, T.Ono, M.Sampei, T.Obata, S.Tanabe, E.Tsuchie, Y.Muraoka、Long-term Test of the Equipment for +/-500kV DC Converter Station、1999年、IEEE Power Engineering Society Summer Meeting, 1999

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キーワード

直流送電、サイリスタバルブ、500kVdc、150mm大口径シリコンウェーハ、8kV光サイリスタ、水冷、直流送電
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