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竜飛ウインドパークの建設、機器の信頼性向上および風力発電の諸特性に関する研究成果

風力発電は近年欧米を中心に急テンポで開発・導入が進められているが、わが国ではこれまで、その導入例は極めて少なかった。このような中、東北電力はいち早く、わが国初の275kW機、5機からなるウィンドファーム形成の本格的風力発電基地(以下竜飛ウィンドパークという)を建設し、平成4年4月から実証試験に着手、風力発電に関する基本特性の把握、機器の信頼性、経済性等に関するデータの蓄積を図ってきた。これらの結果は積極的に社外に発表され、風力発電の運転・製作技術の向上および普及促進に資されている。また建設サイトは複雑地形のため風の乱れが大きく、海外で多くの実績を有する製作者でさえ初めて経験する各種トラブルに見舞われた。たとえば風車の故障に起因する、電力系統のトリップは平成4、5年度には年間約110~120件にも達したが、使用者・製作者一体となった発生原因の解明、対策、その効果の確認等を精力的に実施し、平成6年度には30件と1/4にまで減少させた。さらに、これらの運転経験をベースに、機器の改良に努め一段と信頼性、経済性の高い300kW風力発電機5機を設計・製作・建設し平成7年9月から運転を行なっている。なお、竜飛ウィンドパークの総出力は2,875kWで現在わが国最大の規模である。

これまでわが国では風力発電の運転実績は極めて少なく、定量的研究成果、運転データはほとんど公表されていなかった。そこで、まず風力発電の基本特性を明らかにするため、発電、騒音、翼応力、風車後方の流れ等の特性に関する試験、取得エネルギー予測手法の開発、風車への着氷雪、落雷等の観測を進めると共に、運転を通して機器の信頼性、経済性等に関するデータの蓄積を図ってきた。また風況は建設サイトの地形に大きく支配されるため、海外の実施例がそのままわが国でも当てはまるとは限らない。一般にわが国は平坦な土地が少なく、山地等の地形が複雑なところに風車を設置せざるを得ない。この様な場所は風の乱れが大きく、風車には極めて過酷な条件となる。竜飛ウィンドパークはまさに、この条件を満たす代表的場所であり、以下の様なトラブルが頻繁に発生した。
翼ピッチ角変化が風の変化速度に速やかに追従できないため、過大入力による脱調。
振動による各種ボルトの頻繁な緩みとボルトの疲労による折損。
ヨー制御中ある風力条件の時起こる風車系の異常振動。
これらについて、その原因解明と対策・改良を精力的に行い、一段と信頼性、経済性の高いシステムを完成させた。平成7年には、こうして得られた完成度の高い風力発電機5機を設置し9月末から運転を行なっているが、これまでは特にトラブルは発生していない。また、ここで得られた大量の研究成果、運転実績は積極的に公表されており、わが国の風力発電に関する運転・製作技術の改良・発展、風力発電の啓蒙と普及に寄与した功績は大である。

電気学会は、この成果を称えて、土屋敬一氏、佐久間正氏(東北電力㈱)、高田重煕氏(三菱重工㈱)に、1996年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 土屋敬一、松坂知行、佐久間正、山田佐佳、猪俣登、風力発電システムの運転特性シミュレーション-竜飛ウィンドパークにおける場合-、1993年、平成5年7月 電気学会論文誌B
[2] 土屋敬一、東北電力竜飛ウインドパークについて、1991年、サンシャインジャーナル、1991年12月Vol.12,No2 、日本産業技術振興協会
[3] 土屋敬一、竜飛ウインドパークの運転実績、1996年、第18回風力エネルギー利用シンポジウム、平成8年11月、日本風力エネルギー協会
[4] 猪股登、飛ウインドパークにおける風力発電の実証研究、2008年、風力エネルギー、2008、4、Vol.32、通巻88、日本風力エネルギー協会

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竜飛ウインドパーク、集合型風力発電、風力発電、東北電力、風力発電
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