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モバイルコンテンツサービスのためのMPEG応用技術の開発と実用化

 映像コンテンツのディジタル化並びに圧縮技術の進歩、インターネットのブロードバンド化により、圧縮映像コンテンツの流通が飛躍的に拡大しつつある。制作現場はもとより、配信事業や二次利用などの場面において、MPEG形式のコンテンツを生成、加工、伝送する機会が増加しており、コンテンツ制作ワークフローが大幅に変化してきている。特に、圧縮形式に起因する処理負荷の増大や付加的なひずみは、大きな課題となっている。更に、サービスの多様化に伴い、ワンソース・マルチユース、フォーマット変換、出力媒体に応じた編集、網特性に応じた符号化制御方式、コンテンツ作成用の検索等、映像コンテンツを効率的に変換、編集、検索するシステムが強く要望されている。

 中島康之氏、滝嶋康弘氏らは、MPEG方式に着目して符号化の研究を進めるとともに、MPEG応用技術を早期に確立し、多方面にわたる実用化をソフトウェアで実現した。符号化技術については、MPEG符号化の低ビットレート領域への適用方式と高信頼伝送アルゴリズムを考案し、遠隔地からモバイルアクセスで利用可能な映像取材システムを世界に先駆けて実用化した。更に非常に処理負荷が大きいH.264/MPEG-4 ACVについても、独自の高速アルゴリズムにより、ノートPCなど限定された処理能力でもソフトウェアでリアルタイム双方向通信を実現することが可能な小形映像伝送システムを2004年に開発し、遠隔地映像監視などに利用されている。

 また、MPEGなど圧縮フォーマットに変換されたコンテンツについては、これまで符号化レート変換や編集、検索を行う際に、いったん復号し画像領域に復元してから処理を行っていたが、両氏らは符号化データに含まれる動きベクトル情報やDCT係数を利用して符号化データ上でこれらの処理を高速・高性能に行う方式を考案した。これにより、例えばMPEG編集については、知覚できる画質劣化なく、従来に比べ約20倍高速な処理を実現しているほか、MPEG変換技術については、従来に比べ同程度の画質で約3倍高速化を達成している。また、MPEG検索技術については、シーンチェンジ検出やオーディオ分類方式を考案するとともに、映像を高速、高精度に要約する技術を確立し、世界で初めて実用ソフトウェアを開発した。シーンチェンジ技術については、米国NISTが主催する検索技術の世界的なコンテストTRECVIDにおいて非常に高速でありながら高精度であることが評価されている。映像要約技術としては、野球やサッカーなどスポーツ映像から得点シーン部分のみを抽出するハイライト検出技術と、ドラマや映画などから、全体のあらずじを抽出するダイジェスト検出技術の二つを実現した。これらの編集や検索技術は、モバイル・ブロードバンド用コンテンツ制作システムや放送局における大規模アーカイブシステムにおけるコンテンツ検索として活用されているほか、世界で初めて実用化された民生用ハイビジョンカメラの編集ツールとして世界中で利用されており、圧縮技術のみならず、コンテンツの流通・配信で必要となるコンテンツ加工・検索技術など、MPEG技術の適用領域の拡大に大きく貢献している。

 以上のように、両氏らがMPEG符号化、伝送、変換、編集、検索技術の実用化研究において成し遂げてきた一連の成果は、これらのMPEG応用技術をモバイルコンテンツサービスや、様々なコンテンツ作成アプリケーションにおいて一気に実用レベルに進展させ、学問分野への貢献も大きい。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2007年、中島康之氏、滝嶋康弘氏に業績賞を贈った。

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MPEG、携帯電話、モバイルコンテンツサービス、画像工学
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