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オーディオ符号化基本技術の開発とMPEG国際標準化への貢献

 今日、携帯電話は90%以上の世帯に普及しており、実質的に成人全員が所有するという状態である。ほとんどの機種が、着うたR及び局全体をダウンロードできる着うたフルRの機能を提供しており、ワンセグ受信機能を提供する機種も増加している。また、iPodRに代表される携帯オーディオプレーヤも巨大市場を形成している。更に、各家庭には大画面テレビが普及しつつあり、それらは地上ディジタル放送受信機能を提供している。若年層にはゲーム機の人気が高く、大きな国内市場を形成している。これらすべてに利用されている技術が、MPEGオーディオである。MPEGオーディオには、標準化の目的、時期などに対応して、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4がある。これらのうち、特に大きな市場を有する規格は、MPEG-1レイヤⅢ(MP3)とMPEG-4 AACである。杉山昭彦氏、守谷健弘氏、赤桐健三氏は、MPEGオーディオ標準化のれい明期から標準化に参加し、基本技術の開発と国際標準化作業に貢献した。

 杉山昭彦氏は、可変ブロック長適法変換符号化を開発した。入力信号の特性に適したブロック長を選択的に用いて、時間領域入力信号を周波数領域信号へ変換する技術である。符号化ひずみを等価的に最大1万分の1に削減し、変化の激しい信号に対しても、ほかの信号と同程度の音質で1/6から1/12の高い圧縮率を達成することを可能にした。守谷健弘氏は、周波数重み付けインタリーブベクトル量子化(TwinVQ)を開発した。周波数領域に変換した入力信号を平たん化した後、ベクトル量子化する。低ビットレートで高性能を得ることができるだけでなく、適応ビット割当を行わないために誤り耐性が高い。赤桐健三氏は、ハイブリッドフィルタバンクを開発した。入力信号を帯域分割した後に周波数領域信号に変換するもので、短い遅延時間で各周波数帯域を適切な分解能で表現できる。

 三氏はMPEG-1の黎明期からMPEG標準化に参加し、上記技術の標準採用に尽力した。また、杉山昭彦氏と守谷健弘氏は、情報処理学会情報企画調査会SC29オーディオ小委員会の代々の幹事として、国際標準化の動向を国内関係各社に周知し、日本の立場を標準化に反映した。また、MPEG-1に対応した日本工業規格(JIS)の原案作成にも貢献した。杉山昭彦氏はMPEG-1 JIS化において主査を務めただけでなく、その後のMPEG-2、MPEG-2 AAC、及びMPEG-4のJIS化においても主査を務め、MPEGオーディオの国内普及に尽力した。赤桐健三氏は、1994年から1997年まで、ビデオも含むMPEG標準化における日本代表団長(HoD)として国内各社をとりまとめ、日本の立場を標準化に反映した。

 開発された技術は、BS及び地上ディジタル放送(MPEG-2/AAC)、ワンセグ(MPEG-2/AAC、HE-AAC)、QuickTimeR/iTunesR(MPEG-4/AAC)、iPodR(MEPG-4/AAC)、PSPR(MPEG-4/AAC)、着うた(MPEG-4/AAC)、着うたフル(MPEG-4/HE-AAC)、DVD Audio(MPEG-4/AAC)などに利用され、高音質・低価格なオーディオ信号の伝送、記録、再生を可能としている。iPodだけで累計1億台、PSPで累計2,000万台、携帯電話で年間4,500万台(1兆3,500億円)の市場を有しており、日常生活への影響力は絶大である。

 以上のように、三氏の開発したオーディオ符号化基本技術は、二重にも三重にも我々の生活に貢献しており、その技術なくしては日常生活が成立しないといっても過言ではない。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2007年、杉山昭彦氏、守谷健弘氏、赤桐健三氏に業績賞を贈った。

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