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InGaAlAs材料系を用いた毎秒10ギガビット伝送用高温動作通信用光源

 インターネットが世界的に普及し、企業、個人を問わず社会基盤として不可欠な存在となっている。このインターネットを支えるのが世界に張り巡らされた光通信網である。インターネット通信量は2000年ごろから急増し、現在でも年率約1.3倍で増大している。このため、幹線網から加入者網に至るメトロ網での光通信がネットワークのボトルネックとなってきた。このボトルネックを解決するためにはメトロ網内に配置されたルータの大容量化が必要である。特にルータ間の光インタフェースとなる光モジュールの高速化とモジュール小形化による並列高密度実装配置が必須となる。しかし、10Gbit/sの高速で動作する光送信モジュールは吸収形変調器やマッハツェンダ形変調器を用いたものであった。これらの変調器は構成が複雑で冷却素子を必要とするため、小形化に限界があった。また、冷却素子なしで動作可能な直接変調レーザは当時、実用レベルにおいて2.5Gbit/sの動作速度にとどまっていた。そこで高速小形光モジュールの実現を目的として10Gbit/s直接変調半導体レーザの研究開発が2000年前後から活発化した。

 中原宏治氏、土屋朋信氏、青木雅博氏は、10Gbit/s直接変調半導体レーザの量子井戸活性層としてInGaAlAs材料の持つ優れた電気・光学特性にいち早く着目した。まず、同材料を用いた量子井戸構造の結晶成長の最適化と高速化へ向けたレーザ構造の検討を行い、同材料を活性層とした半導体レーザの10Gbit/s直接変調動作を85°Cで初めて実証した。その後、同材料系のレーザ基本物理特性を明らかにするとともに、更なる高温高速動作のためにノッチフリー回折格子構造を提案した。ノッチフリー回折格子構造はInGaAlAsを活性層とした従来の回折格子構造に比較して価電子帯側のノッチがほとんどなく正孔の停留が起き難いため、素子抵抗低減と高効率化を実現できる。同構造の適用により素子抵抗は従来の30%の低減を実現した。更に、活性層を含むレーザ構造の最適化を行った結果、130°Cまでの連続レーザ発振と115°C、12.5Gbit/sでの世界最高の高温高速動作を実現した。このように三氏らは常にこの分野での研究開発をリードしてきた。

 これらの研究開発技術に基づいた10Gbit/s InGaAlAs半導体レーザは、業界初の量産化を達成し、低消費電力の小形光モジュールに採用されるに至っている。この小形光モジュールは世界各社のコア/エッジルータに適用され、アクセス、メトロ系通信や2006年トリノオリンピック、ドイツワールドカップなどにおいて高精細中継映像の信号伝達のデバイスとして世界中に貢献した。

 以上のように、三氏らは直接変調レーザの高温高速動作の先駆的な研究開発を進め、実用化まで成し遂げた。このレーザは現在の高度情報社会のインフラを支えている。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2007年、中原宏治氏、土屋朋信氏、青木雅博氏に業績賞を贈った。

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InGaAlAs半導体レーザ、10Gb/s伝送、レーザ・量子エレクトロニクス
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