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走査線4,000本級超高精細映像システム・スーパーハイビジョンの研究開発

 目覚ましく情報化が進む中で、コミュニケーション手段として映像の果たす役割はますます大きくなっている。高柳健次郎先生らによって発明されたテレビジョンによる映像技術は、多くの人たちの研究開発によって時代に貢献し、発展してきた。モノクロからカラーテレビになって大きな飛躍を遂げたことはいうまでもない。カラーテレビが普及し始めた1964年の東京オリンピックのときからハイビジョンの研究が始まり、1991年に試験放送、2000年に衛星ディジタル放送、2003年に地上ディジタル放送が実現し、ハイビジョンは浸透しつつある。このハイビジョン放送の普及効果は、家庭での大型画面化をもたらし、大画面で映像を楽しむことが一般的になってきた。映像と音に包まれた環境を作り出し、実物がそこに存在するかのように感じることができるシステムは大きな可能性を持っている。

 岡野文男氏、佐藤正人氏、荻野憲一氏は、走査線4,000本級超高精細画像システム・スーパーハイビジョンの研究開発を行い、その可能性を現実のものとした。研究開発にあたり、人間科学的な面から、臨場感が水平方向の視野角で100度程度まで増加する心理効果を考慮した。縦横比をハイビジョンと共通の16:9とすると、画面の高さの0.75倍の視距離から見れば、水平方向視野角100度を達成できるシステムに設計されている。その視距離から画面を見て、画素構造が見えないように、有効走査線数を4,320本、水平画素数を7,680とし、ハイビジョンの縦横とも4倍の解像度となっている。毎秒コマ数60、順次走査であり、今後予想されるほとんどの映像システムを包含できる走査仕様を持つシステムである。情報量として24Gbit/sを持ち、他に類を見ない映像システムとなった。これらの仕様に合致した撮像デバイス、表示デバイスは存在しておらず、高速な信号処理とともに、方式的な面からも機器の開発研究が行われた。目の解像度特性が緑信号に大きく依存すること注目し、緑信号の解像度を、「斜め画素ずらし法」によって実質的に4,000本程度とすることに成功した。これら、システム及び機器開発において、走査仕様の策定、高解像度化の方式とともに、D-ILAを適用することによって、スーパーハイビジョンにふさわしい大画面表示装置を実現させた。また、CCD、CMOSそれぞれを適用してカメラを開発し、超高精細映像を作る手段を与えた。

 スーパーハイビジョンは、2002年に世界に先駆けてNHK放送技術研究所にて公開された。その後、実用化モデルの開発に進み、2005年に開催された万国博覧会「愛・地球博」にてその映像作品が展示された。システムが持つ豊かな臨場感や没入感を通して、156万人の来場者に感動を与えた。また、「愛・地球博」終了後、2005年10月からは、九州国立博物館の常設設備として導入され、収蔵品の微細な文様など、実物展示品を見ただけでは分からない細部についても明解な提示が可能となり、入場者に大きなインパクトを与え続けている。このように、多くの人たちに感動を与えるものとして、また文化を後世に伝える手段として、限りない可能性を持っている。

 以上のように、三氏らによって開発されたスーパーハイビジョンは、我が国が世界を先導して研究開発を進めてきた映像技術を飛躍的に進展させ、学問分野への寄与も大きい。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2006年、岡野文男氏、佐藤正人氏、荻野憲一氏に業績賞を贈った。

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超高精細映像システム、スーパーハイビジョン、高臨場感システム、ハイビジョン
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