1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1054)

ミリ波通信システム技術における先駆的研究

 ミリ波帯の周波数はその広帯域特性から超高速ワイヤレスアクセスシステム(100Mbit/s以上の情報伝送速度)を実現する上で、有効な周波数帯と考えられている。また、ミリ波帯は、 ①酸素吸収によって遠距離まで到達しない (16dB/km@60GHz) ②装置・回路の小型化が可能 ③直接波を利用した、見通し内通信(Line-of-Sight)が基本 ④基本的にはアンテナの指向性により干渉を回避 ⑤内壁材は透過、外壁材では大きな減衰 ⑥天井・壁等の反射も利用可 等の特徴を有している。

 小川博世氏は、近距離大容量システムに適したミリ波の特徴を活用した種々の短距離ミリ波通信システムを提案した。光ファイバ給電ミリ波伝送システムは、広帯域光信号処理技術の適用により光ファイバを用いたミリ波分配システムを構成する伝送方式であり、この技術の適用により、ミリ波アクセスポイントを簡易なハードウェア構成で実現できる。ミリ波技術と光ファイバ伝送技術、更にミリ波ワイヤレスアクセスシステムを結びつけたのは同氏が世界で初めてである。ミリ波映像多重伝送システム及び集合住宅用ミリ波縦系伝送システムは、ギガヘルツ以上の帯域を必要とする映像多チャネルを家庭内更には集合住宅に配信するためのインフラをミリ波で提供するシステムであり、ミリ波と家電製品との融合を目指した画期的システムである。同氏は、本技術に関して多数の論文を公表しただけではなく、産業界との連携で電波産業会のスタンダードを作り上げる点で指導的役割を演じた。ミリ波アドホック通信システムは、ミリ波を用いて高速データ、高精細画像等のコンテンツを複数の端末間でやり取りするネットワークを構成することが可能な通信システムであり、各端末間でコンテンツを共有しながら行うことのできるアドホック会議等のアプリケーションがある。これは、世界で初めてのミリ波アドホック通信の提案であり、機器による動作実証も世界で初めてである。

 同氏はこれらミリ波通信システムの要素技術に関しても先駆的研究を行い、光/ミリ波・ミリ波/光変換回路技術、光ファイバミリ波伝送技術、光デバイスによるミリ波信号処理技術等を多数提案し、26GHz帯装置及び50GHz帯装置を用いた伝送実験を世界で初めて成功させた。また、ミリ波システムの実用化には低コスト化送受信機が必須であり、そのための技術としてミリ波自己ヘテロダイン方式の提案を行い、ミリ波集積回路技術を用いて本技術の有効性を、産業界を巻き込んで初めて実証した。

 同氏はまた標準化活動への貢献も大きく、郵政省電気通信技術審議会「60GHz無線システム委員会」で成果の一部を技術基準に反映させ、また電波産業会のARIBスタンダード作りにも貢献し、また国際的には国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)にも多数の寄与文書を提出している。更に、本業績の一部は、現在IEEE802標準化会合のIEEE802.15のワーキンググループ内のミリ波タスクグループ(IEEE802.15TG3c)で議論され、同氏はミリ波の世界への普及において高い業績・先導性を示している。

 以上のように、同氏はミリ波通信システム技術の分野において先駆的研究を行い、更に我が国における産学官連携によるミリ波の研究開発においても主導的役割を果たした。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2006年、小川博世氏に業績賞を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

通信
(通信に係わる技術)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2006
国際天文学連合総会で太陽系惑星数が8個と定義され、冥王星が除外される。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

ミリ波通信システム、無線通信システム
Page Top