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文書処理におけるヒューマンインタフェース技術の開発と実用化

 今から四半世紀前の全国大会の予稿集や研究技報を開くと、手書きの研究発表ばかりが並んでいる。日本語ワードプロセッサが発売されたのは1978年で、当時は専門のオペレータが手書き原稿を見ながら清書するのがほとんどであった。ワープロに限らず、計算機はごく一部の専門家が使っていたもので、計算機を知らない一般ユーザが年賀状をワープロで作成するのがごく当たり前となる時代が来るとは、ほとんどだれも予想していなかった。

 土井美和子氏は、そのような時代に、一般ユーザが道具として計算機を駆使する時代の実現を目指して、使いやすさを対象としたヒューマンインタフェースの研究に着手された。その研究は、それまでの技術者やメーカーの視点から、一般ユーザの視点に主眼を移した先駆的なもので、情報化時代の先鞭となり、現在広く用いられている画期的成果を上げられた。その主要業績の概要を下記に3点述べる。

 ①テキストと関連させてレイアウトを決定するアンカリング機能は、図表を参照する段落に錨(アンカー)を打ち込むものである。約1万件の文書の調査・分析から始められ、文章と図表を統合して扱う文書構造を設計し、図表が段落の位置変更に自動的に追随するようにされた。これにより、編集のたびに図表の配置を変更するという煩雑な手間を低減し、編集時間の大幅削減を実現された。このアンカリング機能は、ほとんどのワープロソフトで使われており、権利化特許「文書編集装置」(特許第P1851227号)は、ソフトウェア特許として初めてである。

 ②文書構造抽出技術によるオートフォーマットは、分を解析し、見出しかどうかを判別し、自動的に章番号や箇条書きの記号などの書式を合わせる機能である。約1万3千件の文書を調査・分析し、判別規則を抽出することにより、下書きなしに、直接ワークステーションやワープロ上で文書を作成・編集する環境を構築して、素早く文章を作成できる技術を実現された。

 ③機械翻訳編集技術の開発では、ビットマップディスプレイのない時代に擬似的にウィンドウ機能を実現し、英文と日本文とで左右異なる編集も行える技術を実現された。この対訳編集機能は、ウィンドウ機能が一般的になった現在でも、そのまま広く使われている。

 同氏はこのように、一般ユーザが持っている文書モデルを地道に分析して電子化し、ハードウェアの制約も突破することにより、一般ユーザが容易に計算機を活用できる技術を実現してこられた。上述の「文書処理」以外にも、同氏は、VR(Virtual Reality)による仮想設計システムや、携帯電話向けの歩行者向け道案内システムなど幅広い分野で数々の開発・製品化にかかわられ、その業績の多さは登録特許海外120件、国内94件という件数からも伺い知ることができる。

 以上のように、同氏は、文書処理におけるヒューマンインタフェース技術の開発と実用化に尽力され多大な成果を上げた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2005年、土井美和子氏に業績賞を贈った。

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