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地上デジタル放送伝送方式の研究開発

 近年、放送のデジタル化が急速に進展しつつあり、我が国では、2000年に衛星デジタル放送、2003年に地上デジタル放送が実用化された。デジタル放送は、周波数資源の有効利用、映像・音声の高品質化、データ放送などの新たな放送サービスの実現、携帯・移動受信端末へのサービス提供等を可能とし、今後の放送・通信分野における基幹技術として期待されている。

 このようなデジタル放送時代の到来に先駆け、山田宰氏、斉藤正典氏、黒田徹氏は、1986年から地上デジタル放送用OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に関する先駆的研究を進め、1991年には我が国で初めて放送用OFDM実験装置を開発し、1993年にはOFDMにより伝送されたテレビジョン映像の移動受信実験に世界で初めて成功した。その後、限られた周波数資源を最大限有効に活用可能なBST(Band Segmented Transmission)-OFDM方式を提案・開発し、1997~1999年には(株)次世代デジタルテレビジョン放送システム研究所と協力しながら我が国の地上デジタル放送伝送方式の開発を進め、BST-OFDMを基本としたISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の開発において主導的役割を果たした。

 このISDB-T方式は、ハイビジョンから移動体向け放送まで多様なサービスを、柔軟な編成で放送可能とする優れた伝送方式である。ISDB-T方式では、マルチパスやフェージング妨害に強いOFDM信号を、帯域幅約430kHzのセグメントに分けて送り、テレビジョンには13個のセグメントを、音声放送には1個あるいは3個のセグメントを用いることにより、テレビジョンと音声放送を共通の方式としている。本方式は、次のように、欧米の方式にはない多くの特長を備えている。
 ・固定受信だけでなく、移動受信や携帯受信にも適している。
 ・最大3階層までの柔軟な階層伝送が可能であり、一つのテレビジョンチャネルの中で、固定受信向けサービスと移動受信向けサービスを同時に伝送することができる。
 ・デジタルテレビジョン放送とデジタル音声放送の方式は、帯域幅を除けば共通であるため、受信機の所要機能がほとんど共通となり、受信機の低廉化が期待できる。
 ・テレビジョン用の広帯域ISDB-T信号の一部を、音声放送用の簡易な受信機で部分受信することができる。
 ISDB-T方式は、1999年に電気通信技術審議会において、我が国の地上デジタルテレビジョン放送の標準方式として答申された。またITU-Rにおいても、欧米の2方式とともに標準方式として勧告化された。本方式は、2003年12月に開始された我が国の地上デジタルテレビジョン放送において実用化された。受信機の普及は2004年8月末で134万台に達するなど産業界への貢献も大きい。2000年と2004年にブラジルで実施された日米欧3方式の比較実験においては、ISDB-Tは最も優れた伝送方式という評価を得ている。

 以上のように、三氏らは、地上デジタル放送伝送方式に関する先駆的研究を進め、ISDB-T方式の開発において主導的役割を果たし、我が国における地上デジタル放送の実現を可能とした。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2005年、山田宰氏、斉藤正典氏、黒田徹氏に業績賞を贈った。

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地上ディジタル放送、OFDM変調方式、ISDB-T方式、ディジタル放送
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