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回路と情報通信のグラフ・ネットワーク理論的研究への先駆的貢献

 グラフとは、点とそれらの間につながる線分(辺)から成る図形によって表される数学的概念であり、グラフの点または(及び)辺に物理的意味を持たせたものがネットワーク(網)である。このような図形及び網の性質を究明する理論がグラフ・ネットワーク理論で、これは位相幾何学、離散数学などの重要な一部をなしている。篠田庄司氏、仙石正和氏は、共同で、このグラフ・ネットワーク理論の回路に関する研究を続けて成果を上げ、また、ネットワーク上の施設等の最適配置問題を扱うロケーション理論と呼ばれる分野においても大きな成果を上げた。

 従来、点間のかかわりの尺度として距離を用いたロケーション理論が展開されてきた。両氏は、従来未解決であった点間のかかわりの尺度に容量(ゲージ)の概念を用いた場合のロケーション問題の解法を与えた。その際、ネットワークの変形とそれに伴う評価関数の変化を基準として、多くの定理を導き、新たなロケーション理論の体系を構築した。これらの結果は、インターネットを含む情報ネットワーク上でのデータベースなどファイル(資源)の"最適配置問題"、どの端末からもファイルへ一定回線数以上を確保しながら、なるべくファイルの数を少なくする"被覆問題"、データの流れ口の最適配置を決める"回収問題"などに有効であり、実際、これらの問題に対する具体的解法も与えている。また、両氏は、セルラ方式における"チャネル割当問題"に対しても、グラフ・ネットワーク理論を適用し、独創性と有効性が極めて高い解決法を与えた。この問題は、携帯電話など移動通信の需要の増大に伴い周波数帯域を有効利用するため、サービスエリアを多数のセルに分割し、地域的に干渉の少ない複数セルでの生起呼に同一周波数のチャネルを割り当てることにより帯域の節減を図るセルラ方式において、チャネル割当をダイナミックに最適に割り当てる問題である。

 両氏のネットワーク上のロケーション理論の成果は、更に多くの応用技術を生むものと思われる。その中で、"最適配置問題"、"被覆問題"、"回収問題"、"チャネル割当問題"などの成果は、今後の情報通信技術として、重要な役割を果たすであろう。実際、チャネル割当問題解決の装置については複数の特許を得ており、両氏の研究は、最近では、マルチホップネットワーク(アドホックネットワーク)の通信特性の限界、ラウティングへの適用などその広がりを見せている。

 以上のように、両氏の回路と情報通信システムのグラフ・ネットワーク理論的研究は、30年間以上に及ぶ研究の積み重ねによるものであり、両氏は、理論的研究のみならず移動通信など情報通信への応用の新局面を開いた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2005年、篠田庄司氏、仙石正和氏に業績賞を贈った。


文献

[1] Sinoda et. al.、Soul of circuit theary - a review on research activities of graphs and circuits in Japan, invited paper、1999年、IEEE Trans. on circuits Syst-I: Fundamental Theory and Applications, 45, 1, 83-94
[2] Sinoda et. al.、Characteristics of dynamic channnel assignment in cellular systems with reuse patitioning、1996年、IEICE Trans. Fundamentals, E79-A, 7, 983-989
[3] Sinoda et. al、On solutions of the element-value determinability problem of linear analog circuits、1994年、IEICE Trans. Fundamentals, E77-A, 7, 1132-1143
[4] Sengoku et. al.、Location Problems on Undirected Flow Networks、1990年、IEICE 
Trans,vol.E73,No.12,pp.1989-1993
[5] Sengoku et. al.、Graph Theoretical Considerations of Channel Offset Systems in a Cellular Mobile System、1991年、IEEE, Trans. on Vehicular Technology,Vol.40, No.2, pp.405-412
[6] Sengoku et. al.、Time-Dependent Analysis of Mobile Communication Traffic in a Ring-Shaped Service Area 
with Nonuniform Vehicle Distribution、1992年、IEEE, Trans. on Vehicular 
Technology, Vol.41, No.3, pp.243-254 

[7] Sengoku et. al.、Development in Graph-and/or Network-theoretic Research of Cellular Mobile Communication Channel Assignment Problems、1994年、IEICE, Trans. Vol.E77-A, No.7, pp.1117-1124
[8] Sengoku et. al.、Mobility Modeling and Traffic Analysis in Three-Dimensional Indoor Environments、1998年、IEEE Trans. on Vehicular Technology, Vol. 47, N0. 2, pp. 546-557
[9] Sengoku et. al.、Plural Cover Problem on Undirected Flow Networks、1998年、IEICE Trans, 
vol. J81-A, No. 5, pp. 863-869

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