1. HOME
  2. 電気・情報関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1047)

画像情報の圧縮と処理に関する先駆的研究

自由視点テレビの撮影装置

図1 自由視点テレビの撮影装置

リアルタイムで生成した自由視点画像

図2 リアルタイムで生成した自由視点画像

携帯プレーヤによる自由視点画像のインタラクティブ表示

図3 携帯プレーヤによる自由視点画像のインタラクティブ表示

 テレビは20世紀最大の発明の一つであるが、そのユーザは視点と視野が制限され、三次元シーンの一部しか見ることができない。21世紀の映像メディアは、この視点と視野の制限を取り除く高精細大画面化、三次元化の方向に進んでいる。谷本正幸氏はこのような映像メディアの進展を見通し、ハイビジョン、三次元映像などの新しい映像メディアの情報圧縮と信号処理において先駆的な研究を行った。

 同氏は精細さを追求するハイビジョンの帯域圧縮方式を研究し、放送衛星によるハイビジョン放送用の帯域圧縮方式として、TAT(Time-Axis Transform)方式を開発した。TAT方式は、日本のハイビジョン放送方式として採用されたMUSE方式と並んで、電気通信技術審議会においてハイビジョン放送方式の有力な候補となった。TAT方式は精細さの再現性に優れ、現行テレビ放送との両立性も高い。両立性は、画素を二つの画素群に分解することにより実現している。高周波情報を取り除いた一方の画素群で現行テレビ情報を伝達し、取り除かれたこの画素群の高周波情報は、他方の画素群の高周波情報から信号処理によって復元する仕組みを考案し、相補サブサンプリング方式と名付けた。

 相補サブサンプリング方式については、これを再帰的に適用することによって、冗長性を持たずに画像情報を階層化する相補ピラミッド方式に発展させた。

 また同氏は、従来の2眼式立体テレビを超える革新的な枠組みの三次元映像メディアの研究を推進した。まず、自由視点リアルタイム鳥瞰システムを開発した。これは、ドーム状に配置した多数の固定カメラで取得した映像情報を統合処理して、三次元空間内の任意視点の映像をリアルタイムで生成・表示するものである。同氏はこの方式を一般化して更に発展させ、ユーザが三次元空間内で視点を自由に移動することができる究極の三次元映像メディアとして、自由視点テレビを提唱した。自由視点テレビを実現するには、三次元空間内のすべての光線情報が必要である。同氏は有限視点の光線情報から無限視点の光線情報を信号処理によって作り出す手法を開発し、三次元空間内のすべての光線情報を取得できるようにした。この手法を用いて、撮像から表示までをリアルタイムで行う自由視点テレビという新しい映像メディアの実現性を実証し、世界にインパクトを与えた。

 同氏は自由視点テレビを動画像の国際標準を定める組織であるMPEGに提案し、三次元映像に関する国際ワークショップの開催などによって会議を主導し、標準化活動に貢献した。その結果、自由視点テレビはMPEGにおいて三次元映像の最重要課題として認められ、その圧縮符号化の標準化を行うことが決定した。

 以上のように、同氏は、画像工学の分野で常に学会を先導し、学術の発展に大きく寄与してきた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2005年、谷本正幸氏に業績賞を贈った。


文献

[1] M. Tanimoto, N. Chiba, H. Yasui, M. Murakami、TAT (Time-Axis Transform) Bandwidth Compression System of Picture Signals、1988年、IEEE Trans. on Commun., Vol.COM-36, No.3, pp. 347-354
[2] Masayuki Tanimoto、Overview of Free Viewpoint Television、2006年、Signal Processing: Image Communication, vol. 21, no. 6,pp. 454-461
[3] Masayuki Tanimoto、FTV (Free viewpoint TV) and Creation of Ray-Based Image Engineering、2008年、ECTI Transaction on Electrical Engineering, Electronics and Communications, Vol. 6, No. 1, pp.3-14

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

放送
(マルチメディア情報処理)
放送
(家庭用映像機器)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2005
青色LED訴訟が和解金8億4000万円で和解する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

TAT方式、三次元映像、自由視点テレビ、画像工学、画像処理、ハイビジョン
Page Top