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マルチアプリケーションICカード向け情報流通プラットホームの実用化

ICカード情報流通プラットホーム(NICE)の基本概念

図1 ICカード情報流通プラットホーム(NICE)の基本概念

ICカード情報流通プラットホーム(NICE)のシステム構成

図2 ICカード情報流通プラットホーム(NICE)のシステム構成

 インターネットの普及によって、ネットワークを利用した様々なビジネスが急速に発展しつつある。しかし、大多数の利用者が安心してインターネット上のサービスを利用できるようにするために注目されているのがICカードの利用である。我が国でも公衆電話用カード、公共交通機関の乗車券、社員証、クレジットカード、行政など様々な用途に利用され普及し始めている。しかし、従来はサービスごとにICカードを発行する形態が通常であるため、ビジネス参入コストが高く、普及の妨げとなっていた。また、複数のサービスを受ける場合には、ICカードを使い分ける必要があり、利用者の利便性を損なう場合があった。

 そこで、1枚で多数のアプリケーション(AP)を搭載できる、マルチAP ICカードや、ビジネスの様々な変化に合わせて搭載するAPを柔軟に変更できる安全なICカード運用管理システムへの要望が高まりつつある。

 しかし、現在主流となっているICカードでは記憶容量が少なく、マルチAP ICカードとして利用するには不十分な状況となっている。また、ICカード運用管理システムにおいても、カード発行者が搭載するAPをあらかじめ選択しておく必要があるため、ビジネスの様々な変化や、カード利用者の要望に応じて、搭載するAPを柔軟に変更することが困難となっていた。本開発は、これらの課題を以下の二つの技術で解決したものである。

 ①「マルチAP ICカード技術」

 従来32kByte程度であった記憶容量を、30倍以上の1MByteという大容量に拡大したICカードを、低消費電力化により非接触インタフェース(電波による電力供給)で実現した。これによって十分な数のAPが搭載可能となり、1枚のカードが長期間使用できる上、AP当りのカードコスト低減を図れるようになった。また、RSA、楕円暗号などの複数暗号を処理するためのコプロセッサを搭載して、処理速度を犠牲にすることなく、安全性を高めている。

 ②「ICカード運用管理技術」

 複数のAPをICカード上で自由に入れ替えながら、安全に動作可能とするために、ICカード上でのメモリを厳格に管理しつつ、効率的にメモリを利用するアルゴリズムを考案し実装している。また、APのサーバからICカードへのダウンロード、削除、そして状態管理、サーバ間の相互認証等をインターネット上で安全に実行可能とするため、PKI技術をベースとしたICカード運用セキュリティ保護技術を実現した。

 本開発では、上記の技術に加えて更なるICカードの普及促進のため、新たなICカード運用ビジネスモデルを提案している。従来はカードの発行者がサービスもすべて提供していたが、独立したサービス提供者の提供するAPを、カード発行者が発行したカードに、三者合意の上ダウンロードするモデルを実装した。本方式に加えて、カード発行者やサービス提供者が容易かつ安全に業務をアウトソーシングできるビジネスモデルもサポートしており、これらの業者間でICカード発行や運用のコストを分担することで、ICカードを利用したサービスの創業コストを大幅に低減している点も注目に値する。

 以上のように畠中優行氏、山本修一郎氏、竹田忠雄氏が実用化した、マルチAP向けICカード及びその運用管理技術は、新しい発想に基づき、従来では達成できなかった利便性と、安全性、低コストの両立を実現したものであり、ネットワークを利用したビジネスに大きなインパクトを与えた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2003年、畠中優行氏、山本修一郎氏、竹田忠雄氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 山本修一郎,田路龍太郎,平田真一,庭野栄一、ICカード情報流通プラットフォーム:NICE、2001年、NTT技術ジャーナル、Vol.13, No.12, pp.14-17, 2001
[2] 山本修一郎、ICカードプラットフォームの動向、2002年、海外電気通信、2002年 2月号、pp.5-24
[3] 山本修一郎,竹内商陛,細田泰弘、ネットワーク指向ICカードプラットフォーム、2000年、NTT R&D, Vol.49, No.12, pp.759-766
[4] Shuichiro Yamamoto, Ryutaro Toji, Shiichi Hirata, and Eikazu Niwano、IC Card Information Sharing Platform、2001年、NTT Technical Journal, Vol.13, No.12, pp.14-17, 2001
[5] Shuichiro Yamamoto、Trends on IC Card Platform、2002年、Overseas Telecommunications Journal, 2002, Feb., pp.5-24
[6] Shuichiro Yamamoto, Shohei Takeuchi, and Yasuhiro Hosoda、Net-based IC Card Platform、2000年、NTT R&D, Vol.49, No.12, pp.759-766

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