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第3世代移動通信方式の先駆的研究とその応用への貢献

 通信システムの究極の目標は、「いつでも、どこでも、だれとでも、どんな情報をも瞬時にやり取りしたい」という私たちの願いを実現することであり、無線技術が大きな役割を担っている。近年、携帯電話では電子メール、ホームページ閲覧、銀行振込から娯楽に至る様々なサービスが提供されるようになり、トラヒックの比重がマルチメディア通信へと移りつつある。マルチメディアサービスを効率的に提供できるIMT-2000と呼ばれる第3世代携帯電話のサービスが、2001年に我が国で開始された。

 IMT-2000システムの実現を左右する無線アクセス技術の開発が始まったのは1990年代初めである。時分割マルチアクセス(TDMA)、周波数分割MA(FDMA)、符号分割MA(CDMA)の中からどれを選択するか、開発初期の数年にわたり世界中で熱心に議論された。拡散符号といわれるディジタル符号系列によってチャネルを生成するCDMAは、多様なデータレートの通信サービスを柔軟に提供できる、無線チャネル群の複雑な割当て問題を回避できることなどから、重要な移動無線アクセス技術になるとの見方が広がりつつあった。安達文幸氏は開発当初からCDMA技術に着目し、移動通信の将来を見据えると高速広帯域マルチメディア通信を柔軟に提供できる広帯域CDMA(W-CDMA)技術を開発すべきであること、そして柔軟性に優れたシステム展開を可能とする非同期基地局システムにすべきであることを主張し続け、W-CDMA技術の開発を世界の先頭に立って推し進めてきた。IMT-2000の無線アクセス技術標準の一つに採用されているW-CDMAはこの成果を基礎としている。

 W-CDMAは広範な要素技術から成り立っている。多様なデータレートサービスを多重化できる直交可変拡散率符号はOrthogonal Variable Spreading Factor(OVSF)符号として知られている。W-CDMAでは、各ユーザの信号が所要の信号対干渉電力比(SIR)で基地局に受信されなければならない。そこで、伝送効率を若干犠牲にしつつも、伝送特性改善をねらい、一定周期ごとに既知パイロットシンボルを送信する伝送技術を開発した。そして、コヒーレントRAKE受信のためのチャネル推定と高速送信電力制御のためのSIRの測定を同時に行う技術も開発した。これらは、CDMAを用いる様々な無線システムに適用できる極めてはん用性の高い技術であるといえる。このほか、アンテナセクタ化、チャネル符号化利得、フレーム効率、ダイバーシチアンテナ数など広範な設計パラメータを含む、無線リンク容量の計算手法を考案した。これは、システム展開を図る上で重要な指針を与える研究成果である。

 以上のように、同氏はIMT-2000システムの無線アクセスに関する技術標準の一つになったW-CDMAの基礎を築いた先駆的な研究を行った。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2003年、安達文幸氏に業績賞を贈った。

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キーワード

携帯電話、第3世代移動通信方式、W-CDMA、OVSF、無線通信システム
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