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垂直磁気ハードディスク装置の開発

 近年の情報ストレージ技術、特にハードディスク装置関連技術の急速な発展は顕著であり、高度情報化社会を実現する社会基盤としてますますその重要性を増している。ストレージ技術においては、記録面密度が重要な性能評価因子であり継続した高密度化と大容量化が果たされてきた。中でも高度情報化の要求が強まった1990年代以降は年率100%に及ぶ急激な高密度化が進行しており、最近ではその記録面密度は100Gbit/inch2を超える領域に達している。

 中村慶久氏、村岡裕明氏は、1970年代後半から一貫して高密度垂直磁気記録の研究開発に取り組み、特に1995年ごろ以降は実用的なハードディスク装置用のデバイスとシステムについて先駆的な研究を展開してその優れた記録能力を実証した。その成果により国際的な垂直磁気記録の研究開発を促進させた。

 中村慶久氏は、垂直磁気記録のパイオニアの一人として研究に取り組み、二層膜型垂直磁気記録媒体と単磁極型垂直磁気ヘッドの研究開発を行い、垂直磁気記録方式における基本デバイス構成を確立した。更に、理論及び実験を通じて垂直記録再生系の基本特性を明らかにして、超高密度記録方式の方向性を示した。また、スーパコンピュータによる磁気記録シミュレータを世界に先駆けて開発し、垂直磁気記録を含めた高密度磁気記録の記録再生機構を明らかにした。これらの成果はその後の垂直磁気記録研究の指導原理として大きな貢献をしている。

 村岡裕明氏は、中村慶久氏とともに、垂直磁気記録について実用的なデバイス開発とシステム面に関する研究を行い、現在の垂直磁気記録システムの基礎を与えた。その功績は、まず、実用ハードディスク用磁気ヘッドとして必須な浮上スライダに実装された単磁極型垂直磁気記録ヘッドを世界に先駆けて試作し、高い記録性能を実証した点にある。その研究成果によって本ヘッドはその後の標準的な垂直磁気記録用ヘッドとして広く用いられたもので、その先見性は高く評価される。更にこれらのデバイス開発にとどまらず、それまでの長手型の記録方式とは大きく異なる再生応答が微分型等化器によって適切に処理できることを理論的・実験的に示した。また、エラーレート等のディジタル性能評価を実際の垂直磁気記録デバイスを用いて行い、システム的な優れたポテンシャルを初めて示した。これは単磁極型垂直記録ヘッドを用いる垂直磁気記録システムの実証試験としては国際的に最も早い時期に実施されたもので、その後の国内外における研究開発を先導する役割を果たした。

 また、磁気記録研究分野において積極的な産学共同研究を展開しており、2000年における垂直磁気記録の高面密度記録再生デモは国際的に大きな反響を与え、その後の研究開発に大きな波及効果を及ぼした。

 以上のように、両氏は垂直磁気記録方式を用いる高密度大容量情報ストレージの先駆的研究に取り組み、実用デバイスの構成を確立してそのシステム化を成し遂げるとともに、記録再生理論を系統的に構築して設計指針を導出した。また、多くの産学共同研究を指導して垂直磁気記録の実用化を加速している。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2003年、中村慶久氏、村岡裕明氏に業績賞を贈った。

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垂直磁気ハードディスク、磁気記録
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