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BSデジタル放送伝送方式の開発・実用化

 2000年12月、統合デジタル放送(ISDB)による待望のBSデジタル放送が開始された。四つのBSチャンネルを使って、7番組のHDTV放送、3番組のSDTV放送、23番組のラジオ放送、19社分のデータ放送が一斉に開始するという、いまだかつてない新しい放送の幕開けとなった。このように高品質で多様な放送サービスを支える重要な技術がBSデジタル放送の伝送方式である。

 山田宰氏、松村肇氏、加藤久和氏は、衛星放送のデジタル化に向けて、1990年初めから将来の放送のデジタル化の必要性を見通して、完全なデジタル化により12GHz帯衛星放送に割り当てられた限りある帯域を十二分に活用する方法に向けて検討を開始した。

 衛星放送はITU-Rで取り決められた国際的な技術基準に従って、各国に静止軌道位置とチャンネルの割当てが行われる。日本に割り当てられている衛星放送のチャンネルは8であり、既にアナログ放送で4チャンネルが使われていたことから、残る4チャンネルでなるべく多くのデジタルハイビジョン放送を実施することが必要になると考えられ、高い伝送容量の確保が重要な検討課題となった。

 詳細な検討や伝送実験の結果、放送としては初めてトレリス符号化8相PSK(TC8PSK)を用いることで、既に広く普及している45cm径の受信アンテナでもBS1チャンネルでハイビジョン2番組を受信可能なことを明らかにした。また、TMCCと呼ばれる制御信号を放送波に多重して受信機の復調機能を制御し、TC8PSK以外にもQPSKやBPSKを必要に応じて利用できるような柔軟な性能を持たせた。

 また、より高い伝送レートを確保するため、1992年ごろからITU-Rで開始された衛星放送技術基準の見直しに併せてデジタル波の干渉の問題を検討し、ITU-Rに広帯域化を提案し、従来の技術基準である27MHzにとらわれない34.5MHzという広帯域でも衛星放送を実施できるようにした。この広帯域化とTC8PSKにより、BSチャンネル当り52.2Mbit/sのビットレートを確保することができ、ハイビジョン2番組とデータ番組などの高品質で多様な放送が可能となった。

 BSデジタル放送は、広帯域化に伴い降雨減衰によるサービス遮断時間は従来のアナログ放送に比べて長くなる。デジタル伝送は降雨減衰によって急激にサービス遮断となる特性を持っているため、この遮断時間をアナログと同程度に低減する必要がある。この課題に対して、QPSKやBPSKで必要最低限の情報を送り、降雨減衰時にはそれらの低CNで受信できる信号に切り換えることによってサービス遮断時間を低減する降雨対応放送を考案・実用化した。

 BSデジタル放送では、複数の放送事業者のサービスをBSチャンネル内に多重して送る必要がある。この伝送方式ではBSチャンネルの電波を複数のスロットと呼ばれる単位に分け、スロット単位で複数のMPEG-TSや変調方式を割り当てられるようにしている。これによって、TSの形で各放送事業者が制作した番組は、同じ中継器を共有する他事業者のTSと独立に受信機に送り届けることができる。

 これらの技術仕様を基に、三氏は放送方式の規格化にも努力し、1998年2月の電気通信技術審議会での同方式の答申や、1999年10月のITU-RでのISDB-S方式としての勧告化にも大きな貢献を果たした。

 以上のように、三氏は衛星デジタル放送の伝送方式の開発に先導的な役割を果たし、放送のデジタル化の展望を切り開くことになった。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2001年、山田宰氏、松村肇氏、加藤久和氏に業績賞を贈った。

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