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統合ディジタル移動通信(WIDE)システムの実用化

 近年、犯罪が広域化、スピード化の傾向を強めている中で、警察では、複数の都道府県にまたがる広域犯罪に柔軟に対応できるディジタル方式の移動無線システムの開発を検討していた。

 鎌田邦廣氏、白幡邦彦氏、今野峻の三氏は、「県境を意識しないで運用できる広域移動無線通信システム」をコンセプトに、1987年(昭和62年)から実用化の検討を開始し、1991年(平成3年)度に同時送受話方式とプレストーク方式を統合した全く新しいディジタル移動無線システムを実現した。

 1994年(平成6年)度中には、全国整備の第一段階が完成し、警察活動の中で有効に活用され治安の維持に多大な貢献をしている。

 このシステムの特徴は、無線回線(アクセス方式はFDMA-SCPC)を含む移動機~無線交換制御装置および無線交換制御装置相互間の通話路はフェージング下でも充分な品質が得られるよう適応予測符号化(Adaptive predictive Coding)方式による符号処理を施し、更に誤り訂正を加えた上で、8kbit/sの低ビットレートの伝送を実現して周波数の利用効率を高めていることである。

 また、広域での通信の確保のために、移動機がゾーン(ある基地局がカバーするサービスエリア)間を移動すると、新旧ゾーンを制御する無線交換制御装置はその移動を知ると位置登録を行う。

 これにより、移動機はその所在するゾーンを意識することなく発着呼(全国地域無指定接続)が可能となるほか、ゾーン間移動(ハンドオーバ)、プレストーク通信系におけるゾーンの自動拡張など豊富なサービスが利用できるようになっている。

 その他、警察活動の特殊性から、次のような機能も保有させている。
 (1)端末クラスと通話クラス
 各端末には、AからCの端末クラスが割り当ててあり、端末クラスと通話の形態によって通話のクラスが決定される。このため、各端末に、接続規制クラス(局線発信や市外発信の規制等)や各種サービスの適用可否などの登録ができる。
 (2)呼接続に関する機能
 ふくそうによって、移動機に新たな通話チャネルを割り当てられない場合には、より低位なクラスの通話を切断して緊急通話を確保できる(優先接続)。
 (3)ホットライン機能
 特定の端末からの設定により、移動機-移動機間、または、移動機-有線端末間に、常時通話回線を保持し続ける運用が可能となり、端末がオンフックしても回線は開放されずに、オンフックにより相手をリンガで呼び出すことができる。
 (4)三者通話
 通話中の移動機が相手通話者をいったん保留し、第三者を呼び出した後に相手を交互に切り替えながら通話したり、そのまま三者会議に移行できる。

 これらの機能は、災害時等におけるトラヒックの集中時でも、事件現場と捜査本部間の重要通話を疎通させるためなどになくてはならない機能である。

 本システムは、既に阪神・淡路大震災における災害警備をはじめとして各種の事件、事故で数多く有効活用されており、全国整備を機に更に警察活動に大きな貢献をするものである。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1995年、鎌田邦廣氏、白幡邦彦氏、今野峻氏に業績賞を贈った。

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1995
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キーワード

統合ディジタル移動通信システム、WIDE、無線通信システム
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