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VLSIの設計法と基礎理論に関する研究

 電子情報通信システムの構成要素としてLSI(大規模集積回路)は、その集積度の向上に伴い、ますます重要な役割を担うようになってきた。半導体デバイスの開発および集積化技術の発展により、1チップに数千万以上のトランジスタを搭載することが可能となってきた現代のLSIはVLSIの時代に移行したといえよう。その使用範囲は汎用計算機のMPUやメモリだけでなく、交換機、人工衛星、飛行機、医療機器、家電など多くの分野に広がり、多種多様なVLSIの開発が必要となっている。めまぐるしく変る社会のニーズの中でVLSIを多品種少量生産するためには、短期間で高品質なVLSIを設計する大規模集積化技術の開発・発展が必要である。

 VLSI設計は非常に大規模な回路データや制約条件を処理しなければならない上に、理論的には非常に解くのが困難なクラス(NP困難)に属する部分問題を包含している。そこで、計算機による設計支援(CAD:Computer-Aided Design)システム、ならびに、各部分問題がどの程度難しいのかを理論的に判断する技術が不可欠である。このとき、比較的容易に処理可能と判断された部分問題に対しては効率良く処理するアルゴリズムの開発が求められる。扱うべき回路データ量が膨大であるために、そのデータ量の2乗に比例する処理時間を要するようなアルゴリズムではもはや実用に耐えられないからである。非常に難しいと判断された部分問題に対しては与えられた時間の内になるべく良い解(近似解)が得られるヒューリスティック手法の開発が求められる。このような設計支援ソフトウェアの構築、ならびに、これらを統合したCADシステムの開発がVLSI設計のキーである。

 大附辰夫氏、後藤敏氏は、現在のようにVLSI設計技術が充実する以前のVLSI時代の萌芽期(1970年から1980年)において、VLSI設計の基盤となる新しい革新的手法を次々と考案し、VLSI設計技術の基礎理論を確立した。特に、回路シミュレーション、レイアウト設計、論理設計にグラフ理論、ネットワーク理論、組合せ論、人工知能理論などを導入することにより、問題解決への効率の良いアルゴリズム、ヒューリスティック手法、人工知能的手法を世界に先駆けて開発したことはVLSI設計の自動化に大きく貢献し、内外のVLSIのCADに関する研究をリードすることになった。更に、両氏は得られた基礎理論をカスタムVLSIの自動設計システムへ適用し、世界でも最も早くCADシステムを実用化した。

 以上のように、両氏はVLSI設計法の研究に早くから取り組み、設計技術の基盤となる基礎理論を確立し、すぐれたアルゴリズムを数多く構築すると共に、VLSIのCADシステムの開発を成功に導いた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1995年、大附辰夫氏、後藤敏氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 山元渉,粟島亨,佐藤政生,大附辰夫、ジョグ挿入を伴ったチップコンパクション手法、1993年、信学誌A,Vol.J76-A,No.7,pp.968-978
[2] T. Awashima, M. Sato, and T. Ohtsuki,、Optimal Constraint Graph Generation Algorithm for Layout Compaction Using Enhanced Plane-Sweep Method、1993年、IEICE Trans. Fundamentals, Vol.E76-A, No.4, pp.507-512
[3] 久保田和人,石川拓也,佐藤政生,大附辰夫、線分展開法を拡張した多層グリッドレス配線手法、1993年、信学誌A,Vol.J76-A,No.3,pp.410-420

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