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ディジタル方式自動車・携帯電話方式の実用化

 移動通信はここ数年の間に世界で時を同じくして急激に成長した。我が国では、自動車・携帯電話が1979年サービス開始し、現在200万加入を超え、更に伸び続けている。しかしながら、利用の一般化が進むにつれ、従来のアナログ方式では、容量、品質、セキュリティ、サービスなどの面に限界があり、それらを解決することが大きな課題となった。

 木下耕太氏、若尾正義氏、M.J. McLaughlin氏は、TDMAアクセス方式を取り入れたディジタル方式を新たに考案し、各種適用技術を開発することにより、いずれの面においても従来のアナログ方式よりも優れた性能の移動通信サービスを実現した。

 TDMA多重化により送受信装置数を減らし経済化を図ると共に、間欠的に通信する特徴を生かして送受信を別タイミングにすることにより送受間干渉をなくし、また空き時間に周辺局のレベルを移動機が監視できるようにするなどにより、移動機の小形化、システムの制御効率化に寄与した。

 移動通信用音声符号化アルゴリズムは、冗長度を大きく圧縮して周波数効率を高め、フェージング下でも充分な品質を得られるようにするなど、極めて厳しい条件を満たす必要がある。新たに開発されたVSELPアルゴリズムは、ビットレートが6.7kbit/sと固定通信用に比べ約1/10と極めて高能率な上に、誤り訂正を加えて11.2kbit/sとして、2%のビット誤りがあっても充分な品質が得られている。

 その他、高能率なQPSK変調、ダイバーシチ受信、共通増幅技術などの適用により、周波数効率、経済性、移動機小形化に優れた無線システムを実現した。ネットワークは、ISDN網への接続が可能なように設計され、発信者番号通知など各種のISDNサービスを利用できるようになった。また、高度な認証や秘匿機能をもち、不正使用を極めて困難なものとしている。

 これからのマルチメディア通信には、データ伝送が不可欠である。このため、モデム通信やファクシミリ通信を高信頼に行えるように、誤り訂正機能を有するアダプタが新たに開発された。将来は、より伝送効率の高いパケット通信や非制限ディジタル通信も機能追加可能なようになっている。利用者はどの移動通信網でも利用が可能(ローミング)なように、本方式のエアインタフェース仕様は、電波システム開発センタでPDC(Personal Digital Cellular Telecommunication System)の名称で国内統一規格が制定されたが、その標準化にこれらの技術は大きく貢献した。1993年(平成5年)3月NTT移動通信網(株)の商用開始を始めとして、1994年(平成6年)にはその他のすべての移動通信事業者が、本仕様に基づくディジタル移動通信サービスを開始する予定となっている。以上のように、三氏らは、従来のアナログ方式に比べ、周波数効率、通信品質、セキュリティに優れ、高度サービスを提供するディジタル移動通信方式の実用化を行い、国内への普及にも貢献した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1994年、木下耕太氏、若尾正義氏、M.J. McLaughlin氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 木下耕太、中島昭久、若尾正義、Michael J. McLaughlim、ディジタル移動通信方式、1994年、電子情報通信学会誌、Vol.77, No.2, pp.161-173, Feb. 1994
[2] 木下耕太、秦 正治、平出賢吉、TD/FDMA移動通信方式の検討、1981年、電子情報通信学会誌、Vol.J64-B, No.9, Sept. 1981

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キーワード

ディジタル方式自動車・携帯電話方式、携帯電話、通信方式、無線通信システム
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