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局所並列型画像処理装置の開発と実用化

 ディジタル画像処理は複雑な処理を精度良く安定して繰返し実行できる特長をもつが、不十分な処理速度に欠点があった。この欠点は、大きな画像や連続した大量の画像を高速処理したいニーズが広がるにつれ、顕在化してきた。その理由は、逐次型1次元処理を得意とする従来のディジタル処理技術と、並列型2次元処理を基本とする画像処理技術とのギャップにあった。このギャップを解決する、新しい高速ディジタル画像処理技術の開発が要求されていた。

 木戸出正継氏、麻田治男氏、篠田英範氏は、通産省工技院大型プロジェクト「パターン情報処理システムの研究開発」に参加し、濃淡図形認識装置の開発に取り組み、局所並列型高速画像処理アーキテクチャでこのギャップを解決した。局所並列画像演算装置PPP、局所並列画像処理装置IPUおよびインテリジェント画像眼持ちIMUを次々と開発試作し、新たに提案した局所並列処理型基本アーキテクチャの有効性を確認し、実用的な小型画像処理装置TOSPIXの商品化に貢献した。

 この局所並列画像処理装置は、

 ①画像演算機能のうち最も頻度高く使われるもの、例えば濃淡画像におけるエッジ検出や画質改善のための空間フィルタ、2値画像における特徴点抽出のための論理フィルタなどを局所並列演算として体系化し、これらを高速に実行するハードウェア回路、

 ②局所並列演算回路と画像データを蓄積する画像メモリを複数の高速画像転送専用バスで結合する、新しい画像処理システム機構、

 ③画像演算および高速画像データ転送を柔軟に実行するマイクロプログラム制御機構、

 を基本要素とするアーキテクチャで構成されている。

 この基本アーキテクチャは画像処理ハードウェア研究開発の先駆けとなり、以降盛んになった国内外の局所並列回路のLSI化・画像メモリの小型化・パソコン用画像処理エンジンなどの開発の先導役となった。

 また、この局所並列画像処理装置を、大型の衛星写真画像データを対象とした、リモートセンシング解析(土地利用区分と変化検出)とX線TV画像を用いた非破壊検査(手荷物内危険物検査)に具体的に応用し、その有用性を実証し、実用化への道を開拓した。その後、アーキテクチャを基本に商品化された小型高速画像処理装置TOSPIXは、体温計の示度検査・X線非破壊検査・部品表面傷検査・医用画像診断・リモートセンシング・工業デザイン支援・考古学研究支援などに応用され、本格的な実用化を加速した。

 以上のように、三氏は、ディジタル画像処理分野において、高速でかつ実用的な局所並列型アーキテクチャを提案し、小型かつ低価格な画像処理装置を実現すると共に、その応用拡大を行った。また、我が国の画像処理実用化技術を世界トップレベルにあることを広く認められるに至らしめた。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1994年、木戸出正継氏、麻田治男氏、篠田英範氏に業績賞を贈った。

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