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移動通信用線形ディジタル変調方式の先駆的研究開発

π/4シフトQPSKの信号軌跡

図1 π/4シフトQPSKの信号軌跡

ベースバンド負帰還制御による電力増幅非線形歪み帯域外スペクトルの補償

図2 ベースバンド負帰還制御による電力増幅非線形歪み帯域外スペクトルの補償

 近年、自動車・携帯電話などの移動通信の発展が著しい。加入者が急増していると共に、データ、画像伝送など、サービスの高度化が進められている。これらに対処するための技術として、ディジタル移動通信の研究開発が活発に行われている。特に、ディジタル変復調技術は高能率音声符号化技術と共に、システムの加入者容量につながる周波数利用効率、通信品質および無線機構成に対して大きく影響を与える、ディジタル移動通信技術の中核技術である。移動通信用変調方式においては、電源効率、受信レベルのダイナミックレンジの大きさ、および高速フェージング等の制約のために、定振幅変調方式が長らく検討の対象とされてきた。

 赤岩芳彦氏、永田善紀氏は、周波数利用効率その他の点で原理的にはその優位性が知られていたものの、実現が困難とされていた線形変調方式をディジタル移動通信に適用できることを初めて示した。具体的には、同様な周波数利用効率を示すいくつかのディジタル変調方式のなかからπ/4シフトQPSKを取り上げ、これが移動通信に適していることを示した。また、送信線形電力増幅器に直交検波ベースバンド帰還による非線形ひずみ補償を導入することにより、電源効率に優れながら帯域外スペクトル特性を良好に保つことができた。更には、高ダイナミックレンジと高速フェージングに対応するために、受信回路において、それぞれリミタ回路と周波数検波回路を用いる方法を提案し、移動通信回線で良好な誤り率特性を得ることができた。これらにより、移動通信において線形ディジタル変調方式を採用できる目処がついた。この研究を契機として、従来の定振幅変調方式に代って、線形変調方式をディジタル移動通信に実用化するための研究開発が世界的に開始された。その結果として、線形π/4シフトQPSK変調方式は、まず米国のディジタル自動車電話システムにおいて標準方式として採用された。続いて、日本のディジタル自動車電話およびパーソナルハンディホン(PHP)システムの標準変調方式にも採用されている。これらのシステムは既に実用化されている。移動通信は、今後において例えば大半の人が個人用の小型携帯無線端末を所有することが可能となるパーソナル通信システムや移動無線回線における音声・データ・画像などのマルチメディアサービスを行うシステムなどのように、ますます重要になる。これらのシステムにおいて、線形ディジタル変調方式が採用される可能性が高い。

 以上のように、両氏は移動通信用線形ディジタル変調方式に関して、先駆的な研究を行い、ディジタル移動通信の実用化研究の進展に大きく貢献した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1994年、赤岩芳彦氏、永田善紀氏に業績賞を贈った。


文献

[1] Y. Akaiwa and Y. Nagata、Highly efficient digital mobile communications with a linear modulation method、1987年、IEEE Journal on Selected Areas in Communications, Vol.SAC-5, No.5, pp.890-895, 1987
[2] Y. Akaiwa and Y. Nagata、A linear modulation scheme for spectrum efficient digital mobile telephone systems、1987年、International Conference on Digital Land Mobile Radio Communications, Venice, 30 June - 3 July, 1987

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キーワード

移動通信用変調方式、π/4シフトQPSK、携帯電話、変復調
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