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広帯域電波吸収体の先駆的研究

 電磁波による障害をなくすための方針として、不要電磁波の放射パワーを低減させることと機器の不要電磁波に対する耐性を大きくすることが挙げられる。また、国際無線障害特別委員会において、電子情報機器からの電磁波放射量の規制が30MHzから1,000MHzの周波数範囲で勧告されている。電波暗室は、電子情報機器からの放射電磁波の測定や、妨害電磁波に対する耐性を測定する空間として重要な役割を果たし、その特性改善が研究されている。電波暗室には測定用空間として一定の基準が定められており、現在のところ周波数30MHzから1,000MHzについて定められた基準を満足することが要求されている。この基準を満足するためには、電波暗室内部に少なくともこの周波数範囲で十分な反射減衰量をもつ電波吸収体をはりめぐらす必要があり、これに適した吸収体の研究開発が活発に行われている。

 初期の電波暗室用吸収体は、カーボン等の導電損を含む材料を平板状またはピラミッド形状に壁面にはり付けたものであった。しかし、この吸収体によって30MHz以上の電磁波に対して20dB以上の反射減衰量を与えるためには、約360cmの厚さが必要であった。

 内藤喜之氏は、かつて、これに対して、フェライトのもつ磁性損に着目し、フェライトと導電損材料を組み合わせた電波吸収体を考案し、30MHz以上の周波数で20dB以上の反射減衰量を有する吸収体が、厚さ約130cmで実現できることを実証した。これは、低い周波数においてフェライトのもつ磁性損を有効に用い、高い周波数で低下する磁性損を導電損で補うという発想に基づいたものである。この構造により、それまでの吸収体の約1/3の厚さで電波暗室用の吸収体が実現できるようになった。

 同氏は、最近になって更に暑さを薄くして電波暗室の設備面積を小さくするために、二つの新しい形式の電波吸収体を考案した。その一つが焼結フェライトを格子形に成形したものであり、もう一方は焼結フェライト平板に適当な暑さの低誘電率材料を介してゴムフェライトをはり合わせたものである。前者の吸収体はその構造に独創的な考えを導入して考案したものであり、厚さ約2cmで30MHzから1,000MHの範囲をカバーし、この周波数範囲で測定を行う電波暗室用の吸収体としては目下世界で最も薄型の吸収体として多くの電波暗室で使用されている。更に、後者の吸収体は厚さ約3.5cmで30MHzから1,800MHzの周波数範囲で20dB以上の反射減衰量を与えるものであり、今後考えられる規制周波数範囲の拡大にも対応が可能な吸収体である。

 以上のように、同氏は広帯域電波吸収体に関して先駆的な研究を行い、TV電波反射防止ならびに電波暗室に用いられる電波吸収体の高性能化を図り、世界で最も薄い電波暗室用吸収体を開発するなどの成果を挙げており、環境電磁工学におけるこの分野の進展に大きく貢献した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1994年、内藤喜之氏に業績賞を贈った。

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広帯域電波吸収体、環境電磁工学
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