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WDM伝送用光ファイバ増幅器の広帯域化に関する先駆的研究

 インターネットの急激な普及による通信需要の伸びに対応するために、世界的に波長多重(WDM)伝送方式の導入が加速している。1980年代後半より開始されたWDM伝送方式の開発は、10年間を経てその伝送容量を6Tbit/sにまで拡大させることに成功した。このWDM伝送方式大容量化の核となった技術が、希土類添加光ファイバ増幅器技術である。希土類添加光ファイバ増幅器は、光ファイバのコア部分にEr(エルビウム)等の希土類イオンを添加し、光励起により希土類イオンの誘導放出を介して光増幅を行うデバイスである。多重化された光信号の一括増幅が可能であることから、WDM伝送システムにとって必要不可欠なキーデバイスであり、光ファイバ増幅器自身の増幅帯域がWDM伝送方式の伝送可能容量の上限を規定しているといっても過言ではない。最も早くから開発が進められたEr添加石英系光ファイバ増幅器(EDSFA)では、当初増幅帯域は1530nmから1560nmに制限されており、その拡大が望まれていた。

 須藤昭一氏、大石泰丈氏、森淳氏は、WDM伝送方式の伝送容量の上限を大幅に拡大し得る広帯域な光ファイバ増幅器実現を目的に、ホストガラスを石英ガラスに限定することなく幅広い材料系について検討を進めた。その結果、1.3μm帯増幅用Pr(プラセオジム)添加ふっ化物光ファイバ増幅器(PDFFA)や1.55μm帯で広帯域増幅器を実現したEr添加テルライト光ファイバ増幅器(EDTFA)等を世界に先駆けて提案するとともに、その高性能化に大きく貢献した。

 三氏の開発したEDTFAは、二酸化テルルを主成分とした多成分ガラスをホストとしたEDFAである。石英ガラスの屈折率が1.5程度であるのに対し、テルライトガラスでは2.0以上の大きな屈折率を有している。三氏は、テルライトガラス中のErイオンが、石英ガラス中に比べて大きな誘導放出断面積を持つこと、長波長域での利得が得られる限界波長が1637nmと石英系に比べて9nm程度長波長側にシフトしていることを見いだした。このような優れた特長を生かすべく、低損失テルライト系光ファイバの製造技術、広帯域光ファイバ増幅器の実装技術等の開発を進めた。この結果、1532nmから1608nmまでのWDM信号を一括増幅可能な超広帯域動作EDTFAや、1616nmまで高効率で動作可能なL帯動作EDTFAを実現した。

 さらに三氏は、より広帯域増幅実現に向けた光ファイバ増幅器の構成方法として、増幅帯域の異なる複数の光ファイバ増幅器を使用し、各帯域ごとに増幅したWDM信号を合波させる並列構成の光ファイバ増幅器についても開発を進めた。この方法に基づき、EDTFAとTm(ツリウム)添加ふっ化物ファイバ増幅器とを組み合わせることで100nm以上の増幅帯域を実現するなど、WDM伝送用の光ファイバ増幅器の分野において常に多くの優れたデバイスを提案し実現してきた。

 以上のように、三氏は広帯域光ファイバ増幅器の研究開発に先導的な役割を果たしており、その結果WDMシステムの実用化にも大きく貢献した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2001年、須藤昭一氏、大石泰丈氏、森淳氏に業績賞を贈った。

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