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画像情報の伝達とネットワーク化に関する先駆的研究

 近年インターネット及びWWW(World Wide Web)の発展、JPEG、MPEGを中心とする画像符号化技術の進歩により、通信ネットワーク内で画像情報を伝達・蓄積・探索するシステムが急速に普及し始めている。しかし、フォトニックネットワークが家庭に普及して真のブロードバンド時代がくるまでの間は、ネットワーク内において情報量が大きい画像情報を伝達・蓄積するためには、データ情報と異なる多くの特有の処理が必要となる。

 酒井善則氏は1980年代前半から今日まで一環して、様々な角度からネットワークと画像情報の整合を主目的とした研究を行ってきた。以下の研究業績の主なものを三つ紹介する。

 まず同氏はネットワーク内でディスプレイに提示された文書画像をもとに複数の地点で共同作業を行うシステムの研究を行った。ここで各地点のデータベースに同一画像を蓄積しておき、お互いの指示で同一画像を常に表示することにより共通の画像空間を形成する画像の同期と呼ぶ概念を提案して、これをもとに音声・文書・描画よりなる遠隔多地点間画像会議方式をリーダーとして開発した。この考え方はその後盛んになったグループウェアの初期の提案であり、国際標準化機関であるITUにおいても、同氏等の提案によりオーディオグラフィック通信会議として重要な研究課題となった。

 第2に帯域保証されていないパケットネットワークにおける画像情報伝達について早くから研究を行った。まずインタラクティブな画像通信のように遅延制限の厳しいメディアを伝達する場合を対象として、メディアによる要求特性の差を考慮しつつ優先度割当を行い品質の均質化を可能とする手法を提案した。これは現在インターネットで議論されているQoS(Quality of Service)に先駆けた研究である。更に、インターネットを介して動画像情報を音声とともに指定した時刻に遠隔地で表示するメディア同期方式の研究を行った。この研究ではカルマンフィルタを用いてネットワークの遅延、スループットを予測して情報量を制御しつつ同期を可能とする技術、動きベクトルの大きさを考慮して、MPEG画像の情報量削減を連続的に行う方法等の様々な新しい技術を提案して、これをもとに帯域変動に対応して同期を実現するシステムを開発した。

 第3にWWWのようにネットワーク内で分散配置されている画像情報を探索する方式に関する研究を行った。ここではネットワーク内の情報配置状態を、事前知識をもとに求める情報の存在確立がある程度予測できる確率空間としてとらえ、情報発見までの平均コストを最小とする方法を提案した。この研究はネットワーク内情報探索に対して、従来の物体探査で使用している手法を導入した全く新しい考え方であり、WWW探索に学問体系を構築する初めての試みである。更に画像情報を特徴量をもとに探索する新しい手法を開発して、最適情報探査と結びつけ画像の特徴量を利用したインターネット上の広域画像情報探索システムを提案した。

 以上のように、同氏は画像情報をネットワーク内で伝達・蓄積・検索する技術について先駆的に取り組み、新しい理論体系の提案、概念の提案を行った。これら一連の研究はマルチメディアネットワークの発展及び従来の学問とは距離のあったこれらの分野の新しい学問体系の構築に大きく寄与した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2001年、酒井善則氏に業績賞を贈った。

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遠隔多地点間画像会議方式、メディア同期方式、画像情報探索システム、その他(通信一般)
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