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PDCパケットデータ通信システムの開発実用化

無線インタフェース諸元

図1 無線インタフェース諸元

パケット移動機の状態遷移

図2 パケット移動機の状態遷移

PDCパケットのネットワーク構成

図3 PDCパケットのネットワーク構成

PDCパケットのプロトコル構成および転送制御

図4 PDCパケットのプロトコル構成および転送制御

 携帯電話加入者の急増及びインターネットを中心としたデータ通信の普及に伴い、移動通信ネットワークを介してインターネットにアクセスするモバイルインターネットアクセスの利用が盛んである。現在のセルラ型携帯電話方式は音声通話を主体にした回線交換方式に基づいたシステムである。PDC(Personal Digital Cellular)方式ではこれまで通信時間による課金に基づく、9.6kbit/sの回線交換型データ通信が提供されてきた。これに対して最近のメールやコンテンツ閲覧など回線保留時間に比べ実質的データ通信時間が小さいバースト的通信には情報量による課金が可能なパケット通信がより適している。パケット通信は課金のほかにコネクション時間が短く、リンクを常時保持したLAN的な使い方が可能であるなどのユーザ利便性があり、更に周波数利用効率的に見ても有利であるため、モバイルコンピューティング普及拡大へのキーテクノロジーとしてその実用化が望まれていた。

 大貫雅史氏、小林勝美氏、永田清人氏は、第二世代のディジタルセルラ移動通信方式では世界に先駆けて、PDC方式をベースにしたパケット通信システム(PDC-P)の設計・開発を行い、その実用化・商用導入に大きく貢献した。

 三氏は、移動通信特有の厳しい伝搬環境において高速パケット伝送を安定な品質で実現するため、新たにパケット通信用チャネルを定義し、3chTDMAの3スロット同時アクセスを可能とする技術を確立することにより、従来の回線交換方式に基づく速度(9.6kbit/s)の最高3倍に当たるデータ伝送速度28.8kbit/sを実現した。また無線回線の品質状態に応じて誤り訂正符号の伝送モード(FECの有/無)を制御する技術、及びレイヤ2のフレーム伝送制御にユニット選択再送制御方式などを導入し、スループットの向上を図った。

 更に三氏は、TCP/IPベースの多様なアプリケーションをモバイル環境でも固定端末利用時と同様に使用できること、音声とパケットの融合したサービスを可能とすること、移動機のバッテリーセービング等を考慮したネットワークアーキテクチャ、制御方式を確立した。これらの技術により、移動端末からもインターネットサービスプロバイダ、ユーザLAN等へのパケットアクセス回線の提供を実現した。

 PDC-Pネットワークは既存PDCのネットワークに新規に三つのノード(パケット関門中継処理装置PGW、パケット加入者系処理装置PPM、パケット用基地局変復調装置P-MDE)を付加することによって構成される。既存のPDCネットワークに対して、論理的には別ネットワークを構築するとともに、物理的にはアンテナ、アンプ等の無線基地局設備及び局間伝送路等を共用し経済化を図っている。また音声とパケットを融合したサービスを可能とするため加入者情報を記憶する移動通信サービス制御装置M-SCPを音声とパケットで共用する構成とした。

 三氏が研究開発・実用化を行った上記ネットワークアーキテクチャ、制御方式などの諸技術は、その後のGSMパケット方式GPRS、次世代方式IMT-2000にも生かされている。

 PDC-Pは1996年3月にサービスが開始され、パケット通信の特徴を生かした多様なサービスを生んでおり、モバイルコンピューティングを支えるインフラ技術として重要な位置を占めている。特に、爆発的に普及しているiモードサービスはPDC-Pをベアラ通信媒体としており、携帯機単体によるモバイルインターネットアクセスにおけるパケット通信の有用性を示した。

 以上のように、三氏はセルラパケット通信方式の研究開発に先導的役割を果たした。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2000年、大貫雅史氏、小林勝美氏、永田清人氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 大貫雅史、小林勝美、永田清人、村瀬 淳、PDCパケット通信方式、1998年、電子情報通信学会誌、vol.81, no.3, pp.253-258
[2] 大貫雅史、杉山一雄、笹田浩司、藤谷 宏、移動パケット通信コアネットワークの開発、2001年、電子情報通信学会論文誌、vol.J84-B, no.6
[3] 大貫雅史、小林勝美、中村勝志、木村 茂、宮崎亮智、移動パケット通信システム特集 システム概要、1997年、NTT DoCoMo テクニカルジャーナル、vol.5, no.2, pp.6-9
[4] M. Onuki, K. Kobayashi, A. Murase, S. Hirata、Mobile Packet Data Communication in a TDMA Cellular System、1996年、IEEE ICUPC96, pp.577-581
[5] M. Onuki, K. Kobayashi, K. Nagata, A. Murase、PDC packet communication system、1998年、J IEICE vol.81, no.3, pp.253-258
[6] M. Onuki, K. Sugiyama, K. Sasada, H. Fujiya、Mobile Packet Data Communication Network and Its Implementation、2003年、Electronics and Communication in Japan, vol.86, no.4, pp.72-85

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