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ハイビジョン用プラズマディスプレイの実用化

 2000年、12月1日からBSディジタル放送がスタートする。この放送の基幹的特長の一つはハイビジョンの高画質、高音質サービスである。ハイビジョンは、高精細で大画面の映像を高品質の音声とともに再現する迫力のある高臨場感のシステムで、30年以上前に、NHK放送技術研究所で研究が始まった。一般家庭でこのハイビジョン放送を楽しむには、大画面で薄型の壁掛けテレビが必須であるとの認識はハイビジョン研究の当初からあったが、当時はそれを実現する技術がまだなかった。

 村上宏氏らNHK放送技術研究所グループでは、幾つかの平面ディスプレイ候補の中で、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)が、大型化しやすいこと、速い応答速度、広視野角、高い色再現性などハイビジョン用大型壁掛けテレビの実現に適した特性を有していることに着目し、当時オレンジ色の文字表示用小型ディスプレイとして開発されたばかりのPDPの研究を開始した。

 研究初期にはPDPの実用化を疑問視する向きもあったが、NHKにおける研究・開発当初から、グループの一員である村上宏氏は、蛍光体、放電、デバイス技術、駆動・システム技術、テレビ信号処理システム技術全般にわたり研究開発を進め、現在でも使用されている蛍光体や放電ガスなどについて業績を残した。特に、PDPの高輝度化に有力な手法として、メモリ機能を付加できるパルスメモリ方式を1980年に開発した。更に大型化に適した平面構成パルスメモリPDPの開発にも成功した。これらの結果、NHKでは、ハイビジョン表示が可能な大型PDPの開発を進めることとなり、村上宏氏はそのリーダーとなって、1987年以降、20型、33型と大型化を進め、1991年には40型PDPに世界で初めてハイビジョン画像を表示することに成功した。

 この40型の成功を機に、1998年の長野冬季オリンピックまでにハイビジョン用PDPの実用化を目指すプロジェクト「ハイビジョン用プラズマディスプレイ共同開発協議会」(以下、PDP開発協議会と略記)が1994年に発足した。これにはNHKと関連メーカー29社が参加し、NHK内の開発体制と連携して実用化を加速することとなった。

 吉川重夫氏、倉重光宏氏、村上宏は、このプロジェクトの中心メンバーとしてこれらを牽引した。すなわち、吉川重夫氏は両体制のとりまとめを、倉重光宏氏はPDPメーカー、部品メーカー、材料メーカーなどが参加した上記のPDP開発協議会の事務局長として各社のとりまとめと実用化の推進を、村上宏氏はNHKでの開発推進に当たった。そして、PDP開発協議会参加各社の努力により、当初の目標どおり1998年2月の長野冬季オリンピックには各社から第一世代のハイビジョン用PDPが実用化され、全国各地でオリンピックの迫力ある映像、音声をハイビジョンで楽しむことができた。

 PDP開発協議会、NHK、メーカー各社の取組みにより、現在ハイビジョンPDPは各社から本格的に発売され始めた。また、ワイドテレビ対応の大型PDPも本格的に量産されるようになった。これらの大型PDPは、最近町中の電気店にも見られるようになり、また、各種の展示会では展示品解説用の情報ディスプレイとしても数多く使用されるようになってきた。

 以上のように、三氏は、PDPをキーディスプレイとして今後のディジタルハイビジョン放送の充実とPDP産業の発展に寄与した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2000年、村上宏氏、吉川重夫氏、倉重光宏氏に業績賞を贈った。

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プラズマディズプレイ、ハイビジョン、発光ディスプレイ
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