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スペクトル拡散通信の先駆的研究

 近年の移動通信システムの急速な発展は顕著であり、高度情報化社会を実現していく上での社会基盤の一翼を担うまでにその重要性が増している。その実現の核となる技術の一つがスペクトル拡散技術である。その一部をなすCDMA(符号分割多元接続)技術は、現在既に幾つかの移動通信システムにおいて利用されているが、2001年にサービスが開始される予定のIMT-2000(第3世代の移動通信システム)においてもその実現のための中心的な技術となる。更に近年利用が広まりつつある無線LANシステムのほとんどは、スペクトル拡散通信で行われている。

 丸林元氏、中川正雄氏、河野隆二氏は、1970年代後半からスペクトル拡散通信の研究を開始した草分けであり、長年にわたり上記のような分野の発達に貢献している。そのすべてを紹介することは紙数の関係で難しいが、一部を以下に述べる。

 丸林元氏は、直交した拡散符号を単に並列伝送するだけでなく組合せを利用して伝送速度を向上させる並列組合せ伝送方式の世界に先駆ける先駆的研究を行い本研究分野の創生に尽力した。

 中川正雄氏は、時分割複信CDMA方式を研究した。この方式は、端末側のコントロールなどのシステム構成が極めて簡単にできることが特長であり、この方法を発展させたものがIMT-2000の無線標準方式の一部として採用された。また、この原理を更に利用することで、Pre-rakeの研究でも成果を上げている。CDMA方式では、パスダイバーシチ実現のために一般にはRake受信機が使用される。これを基地局側でのPre-rake処理によって同等の機能が実現でき、端末機側の処理が簡易にできることを世界に先駆けて示した。

 河野隆二氏は、マルチユーザディテクション方式を研究した。CDMAでは、直交拡散符号を利用すれば、周波数利用効率の高い多元接続が可能になる。しかし、実際には移動する端末の電波伝搬環境が複雑であること並びに一般に端末間が非同期であることにより、符号管は完全な直交にはならず、干渉が生ずる。そこで、これを取り除き、干渉を抑制する方式を世界に先駆けて提案した。この考えを発展させた方式が第3世代のCDMAに利用される。更に、空間領域でのマルチユーザディテクションを研究し、空間領域と符号領域の相関特性とを組み合わせた方式を世界に先駆けて提案した。

 以上のように、三氏はスペクトル拡散通信の基礎的研究に1970年代後半から先駆的に取り組みこの学問分野の基礎固めを行うとともに、多くの研究者を糾合して本分野の研究・実用化を先導して、次世代移動通信や無線LAN等の新しい移動通信システムの発展に寄与した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、2000年、丸林元氏、中川正雄氏、河野隆二氏に業績賞を贈った。


文献

[1] 丸林、河野、中川、スペクトル拡散通信とその応用、1998年、電子情報通信学会
[2] I.Jeong and M.Nakagawa、A Time Division Duplex CDMA System Using Asymmetric Modularion Scheme in Duplex Channel、1999年、IEICE Trans. onCommunications , Vol.E82-B, No.12, pp.1956-1963
[3] Sung-Chul Kang, Ryuji Kohno、Multilevel Multiuser Detection System in a Multicell MFSK/FII-CDMA Environment、1998年、Transactions of the S.A. Institute of Electrical Engineers, pp.147-151 (1998-09)

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移動通信システム、CDMA、無線通信システム、スペクトル拡散
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