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コンピュータネットワークのモデル化と性能評価に関する先駆的研究

 近年、インターネットの爆発的な普及によって、コンピュータネットワークは産業社会だけではなく、市民社会にも浸透しつつある。そのような社会的な広がりをもつインターネットは米国におけるARPANETから発展してきたものであり、これまでのコンピュータネットワーク技術の蓄積に負うところが大きい。

 宮原秀夫氏は、ARPANETプロジェクトの発足当初からコンピュータネットワークに対するパケット交換技術の優位性に着目し、IEEE通信ソサイエティ論文誌に掲載された1978年の論文では、コンピュータネットワークに対して回線交換原理とパケット交換原理を適用した場合の性能比較評価を行い、パケット交換原理の優位性を理論的に証明した。この論文の結果を発展させた研究は、その後多くの研究者によってなされた論文でたびたび引用されている。これらの事実が示すとおり、同氏の研究成果は現在のコンピュータネットワークのアーキテクチャの決定に対して多大な影響を与えたものである。

 同氏は、その後LANの研究にも着手しCSMA/CD方式、トークパッシング方式などLANにおける多重アクセス制御方式のモデル化と性能評価を行い、それらの性能特性を明らかにした。一連の研究はその後のLANシステムの開発に対する大きな指針となったものである。現在LANは構内における分散処理システムの基盤技術としてだけでなく、インターネットへのアクセス手段としても重要な技術となっているのは周知のとおりである。

 また1980年代終りからATM(非同期転送モード)の研究を開始した。特にATMLANの研究においては新しいスイッチアーキテクチャ設計のための性能評価を行い、その結果に基づいて開発された製品は現在、大阪大学のキャンパスLANにおいて実際に稼動しているものである。

 以上のように、コンピュータネットワークのモデル化と性能評価を学問領域として確立し、それを基礎理論としたネットワーク設計手法の導入によりコンピュータネットワークの実用化に大きな道を拓いた。

 更に、同氏は理論的研究成果を実証する場としてネットワークの構築やネットワークを利用した高度情報処理技術の開発を行い、更にそれらを応用したマルチメディアアプリケーションを開発するなど幅広い活動も行っている。近年、情報処理とネットワークの融合が進み、コンピュータネットワークは情報処理システムに必要不可欠なものになっているが、同氏は学会や公的機関の諸活動を通じてネットワーク技術やその応用技術の発展に多大な貢献を行ってきている。特に最近のインターネット技術の普及はこれらの集大成といえるものであり、情報処理産業の育成のみならず地域社会に根差した高度ネットワーク利用の普及にも大きく寄与している。特に大阪大学大型計算機センター長当時、大阪大学のキャンパスLAN(ODINS)の技術委員会委員長として、日本初のATM技術に基づくキャンパスLANを構築・運用し、学内のみならず大阪大学管轄の第6地区におけるネットワークを通じた高度情報処理システムの発展にも寄与している。また、高度情報化推進協議会を通じて、アジア太平洋経済協力会議(APEC)におけるインターネットインフラの構築、及び、それを利用したニュースオンデマンドなどのアプリケーション開発を指導し、APECにおけるアプリケーションソフトウェアのデモによって。インターネットの重要性/有用性を広くアジア太平洋地域に対して啓発した。

 この技術に対して、電子情報通信学会は、1999年、宮原秀夫氏に業績賞を贈った。

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