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第3世代携帯電話方式(W‐CDMA)の拡散符号

 電気信号は、伝送の途中で入ってくる雑音のために“間違い”が混じり込みます。そんな間違いを訂正するために情報ビットにいくつかのビットを付け加える手段が「誤り訂正符号」です。付け加えられるビットは本来の情報以外の余分なビットなので、「冗長ビット」と呼ばれます。

 例えば、「0」か「1」の情報を送るのに、冗長ビットを2ビット付加して3ビットで送信します。情報「0」と「1」の符号語を「000」「111」とすると、23=8種類の符号のうち6種類は非符号語になります。受信された非符号語「001」「010」「100」は、符号語「000」の3ビットのうち1個が0→1に誤ったものと判断できます。同様に、「110」「101」「011」の非符号語の場合は、「111」のうちの1個が1→0に誤ったものとして「111」に訂正します(1ビットの誤りと仮定)。「001」は「000」らしいと判断し、「110」は「111」らしいと判断されるのです。

  ここで、“らしい”という関係を簡単な数量で表したものが語間(符号語や非符号語間)の「距離」と呼ばれるものです。これは二つの語のうち、異なる成分の個数です。距離が小さければ二つの語は似ていることになります。例えば、「000」と「100」の距離は1で、「010」と「111」の距離は2、「000」と「111」の距離は3となります。符号語間の距離の最小値をその符号の「最小距離」といいます。上の例では符号語は2つしかありませんが、それらの符号語間の距離“3”が最小距離となります。

 実用的な誤り訂正符号はほとんどすべて、線形符号と呼ばれるものです。線形符号では、その最小距離(最小重み)が誤り検出訂正能力を表す重要な指標ですが、符号語間の距離の分布も重要です。線形符号では、「重み分布」が距離の分布に一致します。重み分布の公式の導出は容易ではなく、符号理論における難問題の一つです。

 そこでこの研究では、代表的な線形符号である「BCH符号」と「RM(リード・マーラ)符号」の重み分布について解析を行い、いくつかの成果を得ました。この成果自体も大きな価値あることなのですが、その解析の中で「スペクトル拡散通信」と呼ばれる通信の方式に有用な符号系列がみつかりました。ここで重要な性質は重み分布そのものではありませんが、重み分布と深い関係があります。みつかった系列は「嵩系列」と呼ばれる符号系列で、発見から30年以上経った後、携帯電話の規格である、第3世代高速移動通信の国際標準規格W-CDMAの拡散符号の一つとして採用されています。



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キーワード

線形符号、重み構造、スペクトル拡散通信、符号分割多元接続、拡散符号
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