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地球観測衛星「ランドサット」の画像データ処理システム

日本の観測領域

図1 日本の観測領域

 地球資源の有効利用や環境保全は世界的に大きな問題です。こうした問題を解決するための重要な手段として、人工衛星から地球表面を遠隔探査して得られる観測データが注目されています。1979年、宇宙開発事業団は、日本でのアメリカの地球観測衛星「ランドサット」の画像データの需要が高まり、この衛星から送信される電波の受信から画像作成までを一貫処理できる地球観測センターを建設しました。

 地球観測センターでは、図1に示す領域の画像データが受信できます。1シーンは185km四方をカバーしていますが、送信された画像データには最大37kmの誤差が含まれています。この研究で中心となった技術課題は、観測データに混入した画像ひずみを高精度で、しかも高速に除去することでした。そのために開発されたのが「画像ひずみ補正方式」で、ふつう「衛星モデル」と呼ばれています。

 従来の補正は、岬の先端や空港滑走路の交差点など絶対位置が分かっている「地上基準点」を1シーン中にたくさん設定して行っていました。これに対して衛星モデルでは、衛星の姿勢やセンサーの特性に起因するひずみの発生メカニズムを解明し、これを精密にモデル化して「ひずみ量」を求めるのです。つまり地上基準点を用いなくても、ひずみが補正できるのです。

 1シーンは107個以上のデータポイント(画素)から成り立っており、すべてのデータポイントにひずみ補正をしたところ、誤差は1km以下になりました。さらに、16個の地上基準点を用いた精密処理によって誤差が80m以下に抑えられたのです。1シーンの観測画像データを入力し、2400フィートの磁気テープ2巻に出力するまでの処理に30分もかかりません。

 これらの性能は世界水準を超えるもので、各国から高く評価されました。これにより人工衛星を用いた遠隔探査技術の急速な発展と地球観測画像データの利用面の拡大が期待されます。この開発研究に取り組んだ高橋正展氏(宇宙開発事業団)、長谷川幸雄氏(日立)、井原廣一氏(日立)の3人に1980年、電子情報通信学会(旧称:電子通信学会)から業績賞が贈られました。

            =電子情報通信学会宇宙・航空エレクトロニクス研究専門委員会編集=



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キーワード

地球観測、画像処理、実時間、ランドサット、システム
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