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高密度集積回路(LSI)の新しい配置理論と配線収容性予測

ゲートアレイの模式図

図1 ゲートアレイの模式図

論理回路の結線モデル(LSIモデル)

図2 論理回路の結線モデル(LSIモデル)

温度と平均配線長の関係(高温)

図3 温度と平均配線長の関係(高温)

温度と平均配線長の関係(低温)

図4 温度と平均配線長の関係(低温)

統計的最適配置方程式

図5 統計的最適配置方程式

 計算の速さを競い合うスーパーコンピュータなどに用いられるLSI(高密度集積回路)を生産する場合、限られたスペースに数多くの回路部品を配置し、その間の配線をできるだけ短くする工夫が必要です。配線の領域を大きく取ればLSIチップの面積が広くなってしまうし、反対に小さ過ぎればレイアウト設計が難しくなって必要な回路が組み込めなくなるからです。この研究はゲートアレイ方式でLSIを製造する場合のレイアウト設計に関するものです。非常に微細な原子や素粒子の研究で用いられる統計力学を応用してLSIの配置理論を作り上げ、その理論に基づいて配線の総延長を予測する方法を開発したのです。

 理論的な研究では簡略化したモデルを作って考えますが、この論文では図2のように節点(セル)を9個に限定して説明されています。この節点はLSIに組み込む回路部品を表し、9個の節点を結んでいる16本の枝(曲線)は配線を表します。このようにモデル化すれば、すべての配線の長さの合計(総配線長)の最も短いものを計算によって見つけることができるのです。

 この理論では、連結グラフの枝 (配線) を統計力学でいう「粒子」に、枝がLSI基板の上に置かれたときの枝 (配線)の長さを「粒子のエネルギー」に、配置の不規則さ(複維さ)を「温度」に置き換えます。そして温度と平均配線長の関係を表すグラフ(図3図4)から、平均配線長の最も短い配置は、温度が極く低温の場合に相当することが分かり、統計的最適配置方程式(図5)が導かれました。

 この方程式を利用すれば、LSIの基板を設計する段階で、まだ組み込む回路がはっきり決まっていない状態でも、配線がどれだけ収容できるかを予測することができます。もちろん、組み込む回路の数が数百に上っても平気なのです。

 この研究成果は実際のスーパーコンピュータ用LSIの基板の設計や製造に生かされています。LSIの配線収容性予測という技術的難題を全く新しい統計力学的配置理論で解決した原田紀夫さん(拓殖大学)には、1985年に電子通信学会から「論文賞」が、1988年に電子情報通信学会から2度目の「論文賞」が贈られました。また1985年には米澤ファウンダーズ受賞記念特別賞が贈られました。



さらに詳しく知りたい読者は「専門向け」のページもご覧ください。


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キーワード

VLSI設計技術、LSIレイアウト設計、配線収容性、統計力学、スーパーコンピュータ、平均配線長、配線長分布、フェルミディラック統計、統計的最適配置方程式、温度
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