1. HOME
  2. 電気・情報関連(入門)
  3. 研究情報(登録番号170)

市民の利用にも対応した長野市オリンピック記念アリーナ(エムウェーブ)の照明

エムウェーブの外観

図1 エムウェーブの外観

エムウェーブの内観

図2 エムウェーブの内観

エムウェーブ内部の照明模型(縮尺1/100)

図3 エムウェーブ内部の照明模型(縮尺1/100)

視覚によるグレア(まぶしさ)評価の実験状況

図4 視覚によるグレア(まぶしさ)評価の実験状況

 1998年の冬季オリンピック長野大会でスピードスケート競技会場となった通称「エムウェーブ」が竣工したのは、1996年のことでした。この「長野オリンピック記念館」は、木造吊り屋根をもった世界最大級のアリーナで、日本初の400m標準ダブルトラックを備えています。

 屋内スピードスケート競技場としての照明は、JIS Z9124「スキー場及びアイススケート場の照明基準」に規定されており、またインコースとアウトコースに沿って配置した照明器具から、コースへ向けて行う投光照明が推奨されています。しかしエムウェーブは、夏の間は球技など別のスポーツやイベントにも使えるように、可動スタンドや人工芝巻き取り装置も設置されています。そのため照明は多目的な使用にも対応でき、さらにカラマツ材で構成された天井の美しさを引き立たせる必要がありました。

 スピードスケート競技のテレビ放送に要求される高い照度(鉛直面照度1000 ルクス、水平面照度1500 ルクス)を維持しながらグレア(まぶしさ)を防ぐこと、さらに球技に必要な空間照度やボールの見やすさが課題となりました。そこでシミュレーションや模型実験によって問題点を拾い上げ、照明計画を練り上げていったのです。

 採用された照明は、照明器具をメインスタンドとバックスタンドの上部、それにひな壇状の天井キャットウォーク(高所に設けられた細い通路)に線状に配列し、天井空間構成やインテリアを生かすようにコースを除いたアリーナ全体に照明器具を分散させることにしました。

 光源はランプ効率や寿命を重視し、ハイビジョンテレビ放送に適した色合いが得られるように高演色形メタルハライドランプを使うことにしたのです。

 また投光器は、メインスタンドとバックスタンドの上部のキャットウォーク(高さ22m)にそれぞれ63台、天井キャットウォーク(高さ17~33m)に336台、合わせて462台設置しました。また、スケーターの視線に入りやすいカーブ部分の投光器164台には、グレアを減らすために横形黒色ルーバを組み込みました。

 天井キャットウォーク部投光器のエイミング(方向をねらい定めること)は、左回りに滑るスケーターの前方から光が入射しないようにコースから離れた投光器から左回りに追いかける照明にしました(サイクリック・エイミング)。

 球技やイベントの場合、水平面照度と空間照度を確保するために、天井キャットウォーク部投光器のエイミングは、ビームを交差させ(クロス・エイミング)、グレアが生じない範囲で照射距離が長くなるようにしました。

 冬はスケートリンク、夏は人工芝という多目的ドームの照明に初挑戦した櫻井清さん、蔭平小三さん、町野陽一郎さん(久米設計)、城内忠司さん、藤田茂明さん、村上和雄さん(鹿島建設)、鬼頭和宗さん(日本電設工業)、田中哲治さん、石崎勝司さん(岩崎電気)ら9人に対して1998年、照明学会は「日本照明賞」を贈りました。



さらに詳しく知りたい読者は「専門向け」のページもご覧ください。


関連する研究を検索

分野のカテゴリ

照明
(照明技術)

関連する出来事

1996年
エムウェーブ竣工

世の中の出来事

1997
消費税の税率が引き上げられる。
1997
長野新幹線が開業する。

Webページ

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

スポーツ照明、スピードスケート、多目的アリーナ、光環境評価、サイクリック・エイミング、クロス・エイミング、屋外照明技術、屋内照明技術
Page Top