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低燃費を実現した変速比幅の大きい超小型副変速機付CVTの開発

主要諸元

表1 主要諸元

新小型CVTの主断面図

図1 新小型CVTの主断面図

プーリー熱処理シミュレーション結果

図2 プーリー熱処理シミュレーション結果

1.はじめに

 環境,経済性の両面で自動車に対する燃費向上要求は世界的にますます高まっている.グローバルに台数影響を考慮すると最量販であるレシプロエンジンとの組合せで使われるトランスミッションの改良による燃費向上はCO2排出の面積効果を出す上で,非常に重要である.

 一方,燃費向上と同時に自動車が本来もっている「走る楽しみ」も進化しなければならない.そのため,新型のCVTには燃費のみに特化した性能だけでなく,従来型のCVTの持つ運転性を兼ね備えている必要がある.従来の考えでは,上記の特性を満たすためにはプーリーサイズを大きくすれば良いが,それでは軽自動車や小型車に搭載するためのサイズや重量を満足できないため,全く新しい考えのミッション型式を考える必要が出てきた.今回新規に開発したCVTは,副変速機を有することで低燃費,高性能,小型化を達成した.この新小型CVTは,軽自動車から小型自動車まで幅広く搭載していく予定であり,その商品概要と主要構造技術について紹介する.

2.技術の内容

 表1に今回開発した新小型CVTの諸元を示す.変速比幅は既存CVTの6.0から7.3まで拡大した.また重量は既存CVTに対して13%の軽量化を実現し,ワイドレンジ化と軽量・小型化を両立させている.

 従来型のCVTは前後進の切り替え機構しか持たない遊星歯車を採用していたが,新小型CVTはベルト変速機構の後流に前進2段,後進1段の変速が可能な副変速機を有する.(図1).通常のCVTに副変速機を追加する事で,既存CVT,STEPATの中で最も広いレシオカバレッジを実現し,低燃費・動力性能の両立を達成した.

 新小型CVTではプーリーの小径化,薄肉化を行ったが,加工および熱処理の際に発生する歪が最大の課題になった.そこで,プーリーの熱処理について伝熱解析によるシミュレーションを行い(図2),ワーク構成の最適化を図るなどの改善を行い,曲がり直し工程の廃止を達成した.

3.まとめ

 昨今の地球環境問題に対する燃費向上に貢献する事が変速機の使命であるが,CVTに副変速機を組み合わせる独自の新構造にチャレンジし,低燃費と優れた動力性能を両立した極めて高性能の超小型変速機を開発することが出来た.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2011年、中野晴久(ジヤトコ(株))、田中寛康(同左)、斎藤寿(同左)、海野剛弘(同左)、遠田譲(日産自動車(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

小型変速機、CVT、変速比、薄肉化、副変速機
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