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心地よい音を実現するデザイン技術開発と製品適用

心地よい音を実現するデザイン技術開発の手順

図1 心地よい音を実現するデザイン技術開発の手順

目標音実現のための新構造

図2 目標音実現のための新構造

1.概要

 製品が発生する音を付加価値と考え,製品開発そのものに音を創りこみ,心地よい音を実現するデザイン技術を開発した.家電製品や情報機器など家庭・オフィス内は種々の製品が発生する音で満たされている.これらの音を小さくすることは従来の低騒音技術により可能ではある.しかし,低騒音を実現するためには材料等の多くの資源を必要とし,環境にやさしくない.また,製品には固有の音があり,これをなくすことも不自然である.そこで,製品の音を単に小さくするのではなく,心地よい音を実現することを目指したデザイン技術を開発した.本デザイン技術は家電製品(クリーナ)等の製品開発に適用されている.

2.技術の内容

 従来の製品音は“製品から発生する音は全て騒音である”という考え方の下,騒音レベルをスペックとして設定,これを満足するように設計されている.また,製品ができて初めて騒音レベルが測定できるため,対策が後手になっている.また,ここで発生する製品価値はネガティブな印象(騒音は悪者)を低減するに留まっている.

 これに対して,これからの製品音は“製品が発生する音は付加価値である”という考え方に則り,製品コンセプト設計の段階から音質を考慮した設計を行うべきと考える.このためには,ユーザの音に対する要求を定義するとともに,これを具体化するための方策が必要となる.このようにして生まれてくる価値はポジティブな印象を付加することになる.ただし,これを実施するには「製品音は騒音ではない」という考え方を浸透させるとともに,製品設計段階で音をデザインできる指標を定義する必要がある.

 図1に心地よい音を実現するデザイン技術開発の手順を示す.心地よい音を実現するデザイン技術は,顧客の多様な要求の分析,顧客ニーズを抽出する手法,心地よさを定量化する“音のものさし”の開発,音のものさし上に顧客ニーズを考慮して目標音を設定する手法,および目標音達成のための計測・解析技術から成っている.

 このデザイン技術をクリーナに適用した.目標音を達成するためには,まずは対象製品の仕様を理解する必要がある.心地よい音を実現することは一般には抵抗が増えることにつながり,クリーナの本来の性能である吸込み仕事率が低下する.吸込み仕事率と音の両立が不可欠である.音の発生源はモータ/ファンであり,これに付随して吸込み音,排気音が発生する.また,これとは別に床ブラシ音がある.前項で述べた目標音に向って,これらを設計することになる.目標音の実現に当たっては,クリーナモータ本体とモータカバーとの間にバネ支持構造(振動吸収サスペンション)(図2)を採用するとともに新型ブラシを開発した.

3.まとめ

 心地よい音を実現するデザイン技術を開発するとともにこの技術を適用したクリーナQuieTMを2008年3月1日に発売することができた.以後,4機種へのクリーナへの適用するとともに,事務機器を始めとする他製品へと適用範囲を拡大中である.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2011年、大富浩一((株)東芝)、穂坂倫佳(同左)、岩田宜之(東芝ホームアプライアンス(株))、柳澤秀吉(東京大学大学院工学研究科)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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