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建設機械用ハイブリッドシステムの開発

旋回減速時及びエンジン加速時のエネルギフロー

図1 旋回減速時及びエンジン加速時のエネルギフロー

旋回加速時のエネルギフロー

図2 旋回加速時のエネルギフロー

キャパシタとバッテリの特性概念図

図3 キャパシタとバッテリの特性概念図

燃料消費量の比較

図4 燃料消費量の比較

1.概要

 建設機械の製造から廃却にいたるライフサイクルにおいては,稼動時の燃料消費によるCO2の排出が90%以上を占めており,消費燃料の低減が温暖化ガス排出の低減に直接つながる.そこで建設機械の中で国内において最も稼動台数が多い油圧ショベルに対し,旋回の制動時に従来熱として放出していたエネルギーを回生するハイブリッドシステムを開発した.本システムを国内の代表機種である機体重量20トンクラスの油圧ショベルに適用した結果,平均25%の燃費低減を実現した.

 2008年より本システムによるハイブリッド油圧ショベルの販売を開始し,現在までに600台強が国内外において稼働中である.

2.技術的特長

2-1.ハイブリッドシステム

 ハイブリッド油圧ショベルの構成は,旋回電気モータ,発電機モータ,インバータ,キャパシタ等から成り立っている.

 機体上部の旋回が減速する時,運動エネルギーを旋回電気モータが電気エネルギーに変換し,キャパシタと呼ばれる二次電池に蓄える.(図1

 これを旋回加速時のエネルギーとして再活用すると共に,作業負荷増大時に発電機モータを通じてエンジン加速のアシストエネルギーとしても活用する.(図1図2)この為,待機状態を始めエンジン回転を低く抑えることができ,燃料消費量の低減が可能となる.

 乗用車のハイブリッドシステムに比べエネルギー出入りのサイクルが頻繁な建設機械の使われ方を考慮して,二次電池には電気2重層キャパシタを採用した.この結果,充放電の高効率化と長寿命化を達成した.また,建設機械における過酷な稼動条件に対する信頼性を確保するため,総てのコンポーネントを内製した.(キャパシタセルは購入品)

2-2.燃費低減効果

 通常機と比較して,平均25%の燃費低減を実現した.(図4)このシステムは旋回エネルギーを回生するため,旋回時の負荷,旋回角度,旋回の頻度によって燃費低減効果が異なる.旋回角度が大きい作業では,公称値25%以上の低減効果を得られる例もある.本ハイブリッド油圧ショベルの導入により,1台あたり年間約20トンのCO2の排出削減が可能となる.これはおよそ一般家庭4世帯分の年間CO2排出量に等しい.

3.まとめ

 2010年12月に汎用性と生産性を向上させた新型機を投入した.今後一層の市場浸透が望まれると共に,ハイブリッド油圧ショベルの系列展開と,その他の建設機械のハイブリッド化に取り組んでいく所存である.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2011年、井上宏昭((株)小松製作所)、新垣淑隆(同左)、遠藤貴義(同左)、千葉貞一郎(同左)、森永淳(同左)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

文献

[1] 井上宏昭、「PC200-8ハイブリッド油圧ショベルの紹介」、コマツテクニカルリポート、Vol.54, No.161, pp.26-31, 2009.
[2] 吉田周司、「新型ハイブリッド油圧ショベル」、月刊建設機械、Vol.48, No.1, pp.37-42, 2009.

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キーワード

建設機械、油圧シャベル、ハイブリッドシステム、キャパシタ、二次電池、燃費低減、発電機モータ
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